【11月23日付社説】核のごみ説明会/一時しのぎでは理解進まぬ

  このエントリーをはてなブックマークに追加 

 原発に関わる事業を前に進めるためには透明性の確保と、信頼関係の構築が欠かせない。

 原子力発電に伴い発生する高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場の候補地絞り込みに向けた住民との意見交換会で、広報業務を委託されたマーケティング企画会社が、日当や謝礼の提供を持ち掛け参加者を集めていた。

 経済産業省と処分事業を担う原子力発電環境整備機構(NUMO)が、埼玉県など5都府県で開いた意見交換会に、この企画会社が関わっていた。

 NUMOは実際には提供されなかったとしているが、昨年夏のNUMO主催のセミナー参加者からは謝礼をもらったとの証言も出ている。処分場選定手続きの信頼性を揺るがすような事態はなぜ起きたのか。政府とNUMOには徹底した調査と説明が求められる。

 経産省は、最終処分場の候補地となり得る地域を示した日本地図「科学的特性マップ」を7月に公表した。最終処分への国民の理解や関心を高めるため、きめ細かな活動を積み重ねると訴え、全国各地での意見交換会を10月から行っているが、その姿勢が疑われる状況を自ら招いたことになる。

 原発を巡っては、過去にも再稼働への理解を求める住民説明会に電力会社が社員を参加させたり、再稼働を容認する意見を組織的に投稿させたりするなどの問題が繰り返されてきた。

 経産省やNUMOは、核のごみの最終処分について、幅広い国民の理解の必要性を強調してきたが、今回の意見交換会が国民の声を聞いたかのように装ったアリバイづくりの場となっていなかったのか。一時しのぎの手法はかえって不信を募らせることになる。厳しい検証が不可欠だ。

 今回の問題について世耕弘成経産相は「(民間企業に)委託する考え方自体が根本的に間違っている」と述べたが、まるで人ごとのように聞こえる。

 政府は2013年、処分地選定について、自治体の応募を待つ従来の方式から「国が前面に立って」処分の候補地を提示する方針に転換した。政府はNUMOとともに当事者であることを自覚し、事業を主導しなければならない。

 核のごみは、原発の使用済み核燃料からウランやプルトニウムを取り出す再処理の過程で出る。その処分は避けて通れない問題だ。政府は地下深く埋めて処分することを決めているが、処分地選定はじっくり腰を据えた努力があってこそ、地域の理解と合意に結び付いていくことを銘記すべきだ。