【11月28日付社説】相次ぐ企業不正/「ものづくり日本」信頼揺らぐ

  このエントリーをはてなブックマークに追加 

 また不祥事が発覚した。データ改ざんが明るみに出た神戸製鋼所と同種の品質不正が拡大し、日本を代表する企業の品質管理への信頼が揺らぐゆゆしき事態だ。

 非鉄大手の三菱マテリアルが、子会社である三菱電線工業、三菱伸銅、三菱アルミニウムの3社で、一部製品の検査データを改ざんしていたと発表した。

 三菱電線は箕島製作所(和歌山県)で水漏れなどを防ぐシール材のデータを改ざんした。三菱伸銅は若松製作所(会津若松市)で自動車に使われる銅製品などの強度を偽装していた。三菱アルミも不適合品を出荷していた。

 三菱電線や三菱伸銅の問題製品は、航空機や自動車、電力機器などに幅広く採用されており、取引先は多岐にわたる。これらは高度な安全性が求められる分野であり、まずは安全確認を尽くさなければならない。

 三菱マテリアルは、品質問題がほかにも存在しないか確認するため、グループ全事業所の臨時調査を実施する。三菱電線と三菱伸銅には社外弁護士らで構成する委員会を設置し、年内をめどに調査の状況を公表するという。全容解明を急ぎ、徹底した再発防止策を講じるべきだ。

 日本企業のつまずきは底なし沼の様相をみせている。神戸製鋼所や三菱マテリアルだけでなく、検査不正があった日産自動車やSUBARU(スバル)なども含め、不正の背景に見え隠れするのは経営と現場の乖離(かいり)だ。

 経営には競争力のある製品をいち早く市場に投入したり、顧客の要望に応えたりする責任がある。それを果たすためには、それ相応の技能やマンパワー、設備が現場に整わなければならない。

 果たして現場の実情を把握するための経営努力やコミュニケーションは十分だったのか。各社はここに齟齬(そご)をきたしたまま漫然と操業を続けてきたのではないか。

 顧客が満足し業績も安定していれば、経営方針や現場の状況を厳しく点検する可能性は薄れる。しかし双方が意思の疎通を欠いたままであれば、いずれどこかで無理が生じ、ひずみが出てくるのは避けられない。それが検査工程での手抜きや、品質データの改ざんなどに表れたのではないか。

 経営は、人員増も含め現場の負担を軽減するための投資を惜しむべきではない。コスト削減は経営の課題だが、それは安全を最優先に製造過程を最適化した後の話だ。傷ついた「ものづくり日本」の信頼を回復するために製造業界全体で課題を共有する必要がある。