【12月2日付社説】昭和村のからむし織/伝統の文化守り技に磨きを

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 織り姫たちが守り続けてきた文化にさらに磨きをかけ、後世へと引き継いでいく契機としたい。

 経済産業省は、昭和村で約300年の歴史があるといわれる「奥会津昭和からむし織」を国の伝統的工芸品に指定した。

 県内で指定を受けたのは、会津塗(会津若松市・喜多方市)、大堀相馬焼(浪江町)、会津本郷焼(会津美里町)、奥会津編み組細工(三島町)に続いて5件目。指定により、後継者の育成や販路開拓などに対し、国から支援を受けることができるようになった。

 からむし織の知名度アップや、ブランド力の強化に向けた大きな追い風となる。各種の支援を最大限に生かし、村の振興につなげていってもらいたい。

 からむし織は、イラクサ科の植物「からむし」から繊維を取りだして糸を紡ぎ、衣類などを織る村の伝統文化だ。肌触りが良く、吸湿性と速乾性に優れているのが特徴で、夏物の着物や帯などを作る際に使われてきた。

 最近はバッグやワイシャツなども製品化されており、そのシックな風合いは現代のデザインにもマッチしている。商品の幅を広げ、広くPRすることにより、若者層や海外にもファンを広げていくことができるはずだ。

 からむし織を販売している場所は現在、「道の駅からむし織の里しょうわ」など村内が中心となっている。からむしの生産や製織に従事しているのは36人。製作は手作業のため、供給できる商品には限りがある。

 村は1994年から「からむし織体験生(織り姫・ひこ星)」を募集し、参加者が村で生活しながら、からむしの栽培から機織りまで一連の工程を学ぶ事業を行ってきた。さらに村の住民を対象とした機織り講習会も行っている。こうした取り組みをさらに充実させて、担い手を育成していくことが欠かせない。

 昭和村は高齢化率が県内で2番目に高く、過疎化が進む。からむし織を活用し、交流人口の拡大など村の活性化にも生かしたい。

 からむし織の製作工程を見学したり、機織りを体験できる観光ツアーを企画するなど村ならではの取り組みに知恵を絞ってほしい。昔ながらの製作法を守り続けているからむし織を通し、本県の文化を広く発信する機会にもしたい。

 からむし織は、一時は転作で衰退するなど危機もあったが、「からむしだけは絶やすな」との言い伝え通り、住民が大切にしてきた文化だ。その伝統を枯らすことなく、大きく育てていきたい。