【12月21日付社説】二つの森林環境税/役割と効果を明らかにせよ

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 与党税制改正大綱で「森林環境税」の創設が決まった。

 森林や水源の保全については、本県をはじめ独自に課税制度を設けている自治体が多く、「二重課税」ではないかとも受け取られかねない。目的や使い道を明確に示し、理解を得ることが先決だ。

 国の森林環境税は、地球温暖化対策や災害防止・国土機能保全を理由に2024年度から、全国で約6000万人が納める個人住民税に1人年間千円を上乗せする。

 創設を24年度に先送りするのは、東日本大震災からの復興などを目的とした千円の住民税上乗せが23年度まで続くためだ。負担増に配慮したというが、一度増税したら手放さないという考えがあるとすれば許されまい。

 増収分は年間約600億円が見込まれ、市町村が所有者に代わって間伐したり、林業の担い手育成、木材利用の促進に充てたりするという。自治体への配分は新税創設に先立つ19年度から始める。林野庁が19年度に導入する新たな森林管理制度に間に合わせる。

 新しい管理制度は、所有者も分からず手入れされていない私有林を対象に、市町村が森林管理の委託を受け、一部を意欲と能力のある林業経営者に管理を再委託、残りは市町村が間伐などの手入れをしながら管理する仕組みだ。

 木材価格の低迷や担い手の高齢化などで手が入らないまま荒れる森林が増えている。対応は急務だが、意欲的な経営者の確保や、専門職員が少ない市町村が対応できるのかどうかなど疑問点は多い。

 林野庁はこの管理制度を盛り込んだ法案を来年の通常国会に提出する。新税と新制度について、その効果を含めて説明責任を果たすよう政府には求めたい。

 地方自治体の独自課税は37府県と横浜市で導入されている。本県は06年度から導入し、個人は年間千円、法人は資本金に応じて2000円から8万円を徴収している。毎年11億円超の税収があり、森林環境の整備・保全に関わる県の事業や、市町村への交付金などに使われ、定着している。

 本県は、森林面積が全国で4番目に広い「森林県」であり、森林と県民生活の関わりは深い。里山とともにある日々の暮らしは地域を支える原点でもある。

 重要な機能を持つ森林を皆で支えることに異論を唱える人はいないだろう。しかし、納税者からすれば県の森林環境税とともに、同じ住民税に上乗せされて徴収されることになる。まずは新参の政府が新税の意義と役割に理解を求めなければならない。