【1月3日付社説】伝統工芸品/ブランド力高めて新時代を

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 伝統の技に、現代の生活様式にマッチした新しい価値を加えることで、県産品を世界に通じるブランドに育てたい。

 世界的デザイナーのコシノジュンコさんと新進気鋭のクリエーター4人が3月、県内の伝統工芸や地場産業の技術を駆使し、芸術性や流行性を付加した新商品を発表する。会場は、東京・銀座エリア最大級の複合商業施設「GINZA SIX」を予定している。

 伝統工芸品や地場産品は、本県の歴史や風土によって長い年月をかけて育まれた技術であり、「福島らしさ」を発信できる商品だ。県は、県内企業とデザイナーらとの共同製作で生まれた新商品を県産品全体のイメージアップに生かし、本県産業の振興につなげたい。

 コシノさんは2016年度から、県産品のブランド向上に向けた県のアドバイザーを務めている。県産品に対しては「技術は優れているものの、現代的で都会的なイメージが弱い」との印象を話す。

 県内企業は伝統技術を守りながら時代変化に応じて販売手法やデザインなどを変える必要がある。

 コシノさんが今回発表する商品のコンセプトは「ホテル」。県内企業が製造する和紙やニットなどを生かし、ホテルの室内装飾をイメージした照明やマット、クッション、置物などを製作している。

 発表会場ではホテルの客室を再現し、開発した商品の活用法を提案する。併せて県は、県内ホテルの一室に新商品を設置し、宿泊客に提供する事業も検討している。

 販路の開拓には商品の良さを実感してもらうことが大切だ。使い方を含めて商品を提案すれば、実用性に芸術性が加わった県産品の新しい魅力を消費者が実際に確かめることができる。来場者の反応やニーズを分析し、ホテル以外にも広く売り込むことができるよう今後の商品づくりに役立てたい。

 世界に目を向けることも重要だ。海外では伝統工芸品への関心が高い。急須の色の種類を増やしたことで南部鉄器(岩手県)の輸出が伸びた。また訪日外国人はお土産に伝統工芸品を買う人が多い。県には、海外市場を視野に入れて販売戦略を練ることを求めたい。

 県内の伝統工芸品は会津塗や大堀相馬焼、三春張り子など40種類ほどある。しかし生活様式の変化による需要縮小や後継者不足などで事業継続が難しい産品もある。

 県は本年度から、若手職人らに商品開発や販売開拓の手法などを教える講座を開講している。現代的なデザイン力や経営感覚を持った担い手を数多く育てて、伝統工芸を未来に残していきたい。