【1月10日付社説】地域の文化財/保護と両輪で振興に活用を

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 文化財を地域おこしにつなげるために、保護との両輪で活用する方策を探りたい。

 国の文化審議会が、文化財を生かした地域振興を後押しする新制度案を林芳正文部科学相に答申した。政府は答申を踏まえ、22日開会予定の通常国会に文化財保護法改正案を提出する考えだ。

 新制度では、市町村が文化財所有者や観光団体などと協議会をつくり、歴史的建物や史跡、美術品などの保存活用に向けた「地域計画」をつくる。計画が国から認定を受けると、国指定文化財の改修など権限の一部が国から市町村に移譲される。

 それにより、例えば旧家の邸宅を結婚式場や宿泊施設として使う目的で改修したり、城跡や古墳に案内施設を設けたりといったことを市町村の判断でできるようになる。さらに国は、補助金や税制優遇などで支援する。

 政府が「観光立国」を掲げる中、各地の多様な歴史や文化に対する関心が高まっている。観光やまちづくりに文化財を活用する幅が広がれば、地域の活性化につながるはずだ。政府は、市町村が取り組みやすいような仕組みをつくらなければならない。

 県内には、国指定の文化財や史跡などが約200、県指定のものは約500ある。そのほかにも各市町村が指定している文化財も多い。国の重要伝統的建造物群保存地区に指定されている大内宿(下郷町)や、国史跡に指定されている鶴ケ城(会津若松市)、南湖公園(白河市)などは年間数十万人の観光客が訪れている。

 一方で、あまり広く知られていない文化財もある。市町村は新制度を生かし、地域のさまざまな文化財を掘り起こしてスポットを当てることが大切だ。

 市町村が計画を策定する際には文化財行政を担当してきた教育委員会と、観光やまちづくり部門が連携していくことが欠かせない。

 過剰な改修などにより文化財がレジャー施設化し、本来持っていた歴史的価値を損なってしまうことがないよう十分な注意も必要だ。協議会には文化財に詳しい地域の人材も加わってもらい、望ましい保護と活用の在り方を検討していくことが求められる。

 国や県は専門的な知見から、市町村に対する助言や指導を行う体制を整えることが重要だ。

 多くの人が文化財に親しむことで、魅力がより高まる。そのことによって住民もあらためて文化財の価値を見直し、守り育てていこうという意識が醸成される。そうした好循環をつくりたい。