【1月12日付社説】海のエコラベル/漁業再興の立役者に育てよ

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 県と県漁連が、海の自然や資源に配慮して獲(と)った水産物に与えられる国際認証や国内認証の取得に向けて本格的に動きだした。

 「海のエコラベル」や「水産エコラベル」と呼ばれる認証の取得は、2020年東京五輪・パラリンピックの選手村などでの食材調達の要件となる。風評払拭(ふっしょく)や競争力向上も期待され、「常磐もの」の復活などブランド化の促進にもつながる。本県漁業再興の立役者になるよう育てていきたい。

 五輪では回を重ねる度に環境への配慮が重視されるようになっている。12年のロンドン大会では水産物の全てが環境や資源保護に配慮した「持続可能な漁業」から調達すべきだとされ、続くリオデジャネイロ大会でも引き継がれた。

 東京五輪では、水産物については国際認証の「MSC」や、国内認証の「MEL」などが調達の基準として示されている。一方で、国内での取得数はMSCが4件、MELは28件(生産段階認証)にとどまっている。五輪に向けて他県も動いている。原発事故の風評というハンディを抱える本県としてはより機敏に実績を積み重ねていくことが求められる。

 本県の漁業は、東日本大震災と原発事故後、休漁を経て、魚種や海域を限定した試験操業の範囲を徐々に広げている。県と県漁連は昨年、水産物販売戦略会議を立ち上げ、他産地との差別化や市場での競争力向上に取り組んでいる。認証の取得はその一環だ。

 県漁連はこれまでに、ヒラメ、ヤナギムシガレイ、コウナゴ、ホッキ、アワビの5種について、国内、国際両認証の取得に向けて申請を済ませた。国内認証については本年度中にも複数の認証が得られる見通しで、よりハードルの高い国際認証も五輪までの取得を目指している。

 認証を取得すれば、五輪の食材として採用の条件が整うだけでなく、認証を重視する大手スーパーなどでの販売量の増加が期待できる。それによって認知度が高まれば、県産水産物の品質の高さやおいしさを消費者に広くアピールできる。5種を足がかりに魚種の拡大を図ることが肝心だ。

 農林水産物に関する認証制度では、農産物の安全性や環境への配慮などを客観的に評価するGAP(農業生産工程管理)がある。本県では県とJA福島中央会が「GAPチャレンジ宣言」を行い、認証取得日本一を目指している。

 認証の取得を足がかりに、品質と競争力アップに取り組み、風評に負けない「農林水産王国ふくしま」を築かなければならない。