【1月14日付社説】新産業の集積/参入拡大へ拠点フル活用を

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 ロボットや再生可能エネルギーなど成長分野の新産業に参入する企業を増やし、イノベーション・コースト(福島・国際研究産業都市)構想を軌道に乗せたい。

 浜通りでは、同構想の中核施設となるロボット実証拠点(南相馬市、浪江町)の一部施設が今春に開所するなど、拠点施設の整備が進んでいる。

 政府はこうした状況を受けて、今春から同構想に基づく産業集積や担い手育成などを本格化させる。2018年度政府予算案に、17年度当初の1・3倍となる関連予算135億円を計上した。

 相双地区では、原発事故に伴い避難した製造業が地元で事業を再開する動きは鈍い。避難で取引先がなくなるなど経営の先行きが見通せないためだ。地域経済を再生するためには新たなビジネスチャンスの創出が欠かせず、新産業の集積を加速させることが必要だ。

 構想実現に向けて中心になるのは、県が昨年7月に設立した「福島イノベーション・コースト構想推進機構」だ。本年度は準備期間として組織体制などを検討中で、今年4月から本格的に始動する。

 同機構の業務は実証拠点の運営や、ロボットを開発、製造する県外メーカーの誘致、これら企業と県内企業との橋渡しなど多岐にわたる。先端産業や企業経営に詳しい人材を採用して企業に派遣できるようにするなど推進体制を早急に整えるべきだ。

 国と県は16年度から、同構想に基づきロボットや再生エネなどの集積に向けて県内企業の支援に取り組んでいる。しかし、県内企業はこれら産業分野に事業進出した場合の経営面での利点やリスクをはかり切れていない状況だ。

 県は、ロボットや再生エネなどに関する技術開発を支援する補助制度を設けている。対象は浜通りの企業と、その企業と共に開発に取り組む県内外の企業。同機構には、企業の技術開発を後押しし、県内企業の新産業への参入拡大につなげることが求められる。

 ロボット実証拠点では今春、小型無人機(ドローン)の飛行実験ができる施設が開所する。さらに今年夏から20年3月にかけて、災害時に人命救助などに使われるロボットを開発するための施設が順次完成する予定だ。

 ただ施設の利用率をいかに高めるかが課題だ。同機構は、ドローンや災害対応ロボットに加え、自動走行や航空宇宙関連の技術など、あらゆる分野で施設を利用する企業を開拓する必要がある。実証拠点の機能をフルに活用することで県内に新産業を定着させたい。