【7月1日付社説】はやぶさ2/宇宙の謎解明へ高まる期待

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 日本の科学技術を結集して、太陽系の成り立ちや生命の起源の謎を解き明かしたい。

 2014年に打ち上げられた宇宙航空研究開発機構(JAXA)の探査機「はやぶさ2」が、地球から約3億キロ離れた小惑星「りゅうぐう」に到着した。探査機に与えられた使命は、46億年前に太陽系ができたころの水や有機物を採取し、地球に持ち帰ることだ。

 地球などの惑星は、複数の小さな天体がぶつかり、その際に発生する熱で溶け合って誕生したとされている。そこに小惑星がぶつかるなどして、それぞれの惑星の環境が整えられた。地球は他の惑星にはない豊かな水が蓄えられ、多様な生物が繁栄する星となった。

 りゅうぐうは惑星の一部になることなく、太陽系誕生時の情報をとどめた姿で宇宙空間に存在してきた。そこにある超古代の水や有機物がどのような形で存在しているかを分析することは、地球の水はどのようにしてもたらされたのか、生命はどこから来たのかを探る手掛かりになる。人類史上に残る挑戦の成功を期待したい。

 探査機は現在、りゅうぐうから20キロの位置にある。JAXAはこれから2カ月をかけて、探査機から送られてくるさまざまなデータを解析してりゅうぐうの詳細な3次元地図を作り、探査機の着陸地点を絞り込む作業に入る。その作業を支えるのが、探査機の大半の機器の開発に関わっている会津大(会津若松市)の研究チームだ。

 宇宙惑星情報科学が専門の出村裕英会津大教授によると、同大の研究者は、目標としている太古の水を含んだ鉱物がどこにあるかを分析することと、小惑星の表面の物質が砂か岩かなどを判別して3次元地図に反映させる役割を担っているという。会津の地で育まれた技術を存分に振るってりゅうぐうの全容を明らかにし、探査機が安全に資料を回収できるような着陸地点の特定に貢献してほしい。

 出村教授によると、りゅうぐうが太陽の裏に入り、地球とのデータ通信などが困難になる11月までの期間に、探査機の1回目の地表面への接触が行われるという。来年1月には通信環境が回復するため、りゅうぐうに人工的なクレーターを作り、地下にある物質を入手する世界で初めての計画が進められる見通しだ。地球への帰還は20年末ごろを想定している。

 はやぶさ2の製造には、会津大のほかにも県内の多くのものづくり企業が関わっている。小惑星探査を通じて、その技術力の高さが世界に認められれば、産業復興の後押しにもなる。