【7月3日付社説】ブロック塀対策/身近な安全確保へ総点検を

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 大阪府北部を襲った最大震度6弱の地震は、身近な構造物の危険を浮き彫りにした。安全対策を急がなければならない。

 今回の地震でもさまざまな教訓が指摘されているが、登校途中の小4女児と、見守り活動中だった80歳の男性の2人が犠牲になったブロックの倒壊は痛恨事だった。

 専門家は「M6クラスの地震は、どこでいつ起きてもおかしくない」という見解で一致している。身の回りの危険を総点検し、二度と「人災」が起こることがないよう手を打つ必要がある。

 女児が下敷きとなった学校の塀は高さ3・5メートルと建築基準法の規定を大きく超え、補強の「控え壁」もないまま放置されていた。子どもを守るべき学校施設で安全配慮が欠けていたことは深刻だ。

 文部科学省は事態を受けて、小中高校などを設置する全国の自治体に塀の緊急点検を実施するよう要請した。この点検で、県内では各地の小中学校や高校などで建築基準法の規定に不適合だったり、ぐらつきや傾きがあるため早急に修繕が必要と判断されたりする塀が数多く見つかった。

 学校における耐震化は、校舎や体育館など建物を中心に進められてきたが、ブロック塀など建物以外は盲点になっていたのではないか。実態を把握し、安全の死角をなくさなければならない。

 ブロック塀の危険性が知られるようになったのは40年前、1978年の宮城県沖地震だった。死者の半数以上がブロック塀倒壊の被害で、建築基準法が改正、強化される契機となった。

 その後、未明に起きた阪神大震災や、津波被害と原発事故が際立った東日本大震災では、その危うさは指摘されなかったものの、被災地では倒れたブロックや、傾いた塀が通行を阻み、住民らが危険にさらされた。

 危険が潜むのはブロック塀だけではない。屋根瓦、外壁、ガラス窓など危うさはどこにでもある。所有者も官民を問わない。自らが所有、管理する建物に危険を感じたら、思わぬ加害者にならないためにも手を掛けたい。そうした積み重ねが、地域の安全を一歩ずつ高めることになる。

 小中学校では防災教育の一環として、通学路の家の周りで地震や水害などの際の危険箇所を調べる授業などが行われている。日ごろから、どこが危ないかを意識しているかどうかが、とっさに生死を分ける可能性がある。子どもたちだけでなく、全ての住民が正しい知識を持ち、痛ましい犠牲に学ばなければならない。