【7月4日付社説】大学発ベンチャー/研究や技術を起業に生かせ

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 県内の大学の研究成果や技術を生かし、新産業の創出や産業の新陳代謝につながるような起業や事業化を推し進めたい。

 県は本年度、県内の大学を対象に、ベンチャー企業設立につながる可能性のある研究成果の発掘から事業化までを一貫して支援する取り組みに着手する。3年間で5件程度の「大学発ベンチャー」の起業の実現を目標としている。

 地域経済を活性化するためには、国内外に通用する革新的な技術を持ち、新たな産業や市場を開拓する能力がある事業者、いわゆるベンチャー企業を増やしていくことが大切だ。なかでも、大学の研究成果を使った起業は大学発ベンチャーと呼ばれ、高い技術を背景にした製品やサービスを提供する即戦力として期待されている。

 しかし、県の調べでは、本県の大学発ベンチャーの創業は年間0~2件にとどまっているのが現状だ。3年間の取り組みによって、地域の発展に貢献することができるような企業を育成してほしい。

 支援事業では、県内の研究機関などでつくる「アカデミア・コンソーシアムふくしま」やコンサルティング会社の専門家が各大学を訪問する。研究室に蓄積されている特許や技術などを調査し、ベンチャーの設立につながるような候補を探し出すのが狙いだ。

 大学発ベンチャーの成否の大部分は、中核的な技術の質に懸かっている。起業支援に実績のある専門家と連携しながら、高い市場価値を生み出すことができるような大学の研究成果を1件でも多く掘り起こし、起業に結び付けていくことが重要だ。

 候補となる研究成果が見つかると、ベンチャーを設立するための支援に移行する。今回の事業では、ベンチャーが生み出す製品などを求める「事業化パートナー企業」をあらかじめ引き合わせ、起業後の経営を安定させるような仕組みも設ける予定となっている。

 ベンチャーの経営を軌道に乗せて成果を生み出すようにするためには、創業時の十分な支援が不可欠となる。今回の事業をきっかけに、必要な融資や公的支援を受けるための経営や財務、法務の専門家の派遣などのきめ細かなサポートを展開し、意欲ある大学や個人が起業に取り組みやすいような環境を整えることも肝心だ。

 始まりは少人数で活動する中小企業かもしれないが、高い技術は他の事業者との競争に打ち勝つ武器となる。大学発ベンチャーが成長し、地域の雇用創出にも貢献するような企業に成長するまで支援を続けることも必要だろう。