【7月8日付社説】県警本部新庁舎/県民守る司令塔の強化図れ

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 新しい施設と設備をフルに生かして司令塔機能を強化し、県民の安全と安心を守ってもらいたい。

 県警が、福島市杉妻町の本部新庁舎で本格的な業務を開始した。新庁舎は、国道4号と13号(平和通り)の交差点に近い県庁東側にあり、地上7階建て。事業費140億円をかけて建設した。

 県警は、1954年の組織発足以来、県庁の本庁舎や東分庁舎などを間借りする形で本部機能を運用してきた。このため、長年にわたって、業務スペースの不足や組織の分散による弊害などが課題となっていた。特に東日本大震災と東京電力福島第1原発事故後は、東分庁舎が取り壊された影響で、本部機能が民間ビルを含む8カ所に分散する状況になっていた。

 新庁舎の建設で、県庁本庁舎に匹敵する延べ床面積約2万4000平方メートルが確保され、本部機能を集約することが可能になった。交通安全や防犯指導、事件事故の捜査などの各分野を担当する部署が連携を深め合い、復興を治安の面から支えることができるように警察力を底上げしなければならない。

 また、社会の変化によって生じる新たな課題に対応するため、複数の部署にまたがる対策チームを設置して解決策を探るなど、組織集約の利点を最大限に活用した新たな取り組みが求められる。

 新庁舎は、震災と原発事故の教訓を踏まえ、どのような状況でも警察活動を支障なく行えるように、危機管理拠点としての機能充実を図ったのが特徴だ。震度7の揺れを震度4程度にまで軽減できる免震構造を採用したほか、吾妻山が積雪時に噴火した場合に想定される融雪泥流に対応するため、建物を地表面から50センチかさ上げして建設した。

 庁舎の2階を災害時対応フロアとし、大型モニターを設けた総合指揮室を常設。電力や水道の供給が停止した場合でも、1週間程度は業務を継続することができるような対策を講じている。

 ただ、ハード面の整備だけでは安全と安心を確保することはできない。新たな機能を活用し、実効性ある災害対策に結び付けていくための体制づくりが必要だ。震災と原発事故で得られた経験を糧にして、「想定外」の死角をなくし、何事にも臨機応変に対応できるような体制を築いてほしい。

 県警は8月1日から、学校や各種団体を対象に、防犯講習などと組み合わせた新庁舎の見学を受け入れる方針だ。新庁舎の完成をきっかけに、県民と県警本部の距離を縮め、日ごろの警察活動に理解を深めてもらうことも肝心だ。