【7月12日付社説】復興祈念公園/福島の思い伝え続ける場に

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 東日本大震災と東京電力福島第1原発事故の記憶を風化させないために被災地の経験と思いをしっかり伝えられる施設にしたい。

 復興庁と県が、震災と原発事故の犠牲者を追悼し、得られた教訓などを次世代に継承していくための場として整備する「復興祈念公園」の基本計画を策定した。

 計画は双葉、浪江の両町にまたがる約50ヘクタールの建設予定地を「追悼と鎮魂の場」「被害を伝え、教訓を学ぶ場」「ふるさとと人々を結ぶ場」の三つのエリアに分ける。そのうえで、目的に応じて施設をどのように配置すべきかについて基本的なイメージを示している。

 「追悼と鎮魂の場」は、公園の浪江町側に造られる。丘や広場などを組み合わせ、訪れる人が震災と原発事故の犠牲者を悼み、思いをはせることができる空間とする。将来は式典会場としての活用も検討している。

 訪れた人に本県への理解を深めてもらうために、震災発生から復興に向かって歩む本県の姿を追体験できるアプローチを公園の入り口から祈りの場へと設けるといった設計も考えられるだろう。訪れた人が心静かに手を合わせることができるよう設計に配慮を尽くしてもらいたい。

 「被害を伝え、教訓を学ぶ場」は、公園の双葉町側に造る。公園に隣接して建設するアーカイブ拠点施設(震災記録施設)と連携して、震災遺構を巡ることなどを通じて被害の実態や震災の教訓を学んでもらうエリアとする。

 震災では津波で多くの尊い生命と貴重な財産が奪われた。大津波を想定した対策を万全にすることの大切さを教訓として伝えていく必要がある。また本県は原子力災害の発生を抜きに震災を語ることはできない。原発事故はどうして起きたのかなどが分かるような学びの場にしてもらいたい。

 「ふるさとと人々を結ぶ場」は、鎮魂の場と教訓を学ぶ場の間に位置し、花や木を植えて訪れた人の安らぎのエリアとする。双葉地方の伝統芸能の継承の場や、避難先で生活を再出発した人が定期的に集まるイベントの開催会場などとしても活用する予定だ。

 震災の教訓を末永く伝えていくという公園の理念を実現するためには、より多くの人々に訪れてもらうことが欠かせない。浜通りの新産業として注目される花卉(かき)栽培と連携させ、花と緑にあふれる公園として整備すれば、追悼とやすらぎの場としてふさわしい施設になるのではないか。施設の具体的設計を進めるために今後設置される有識者会議で議論してほしい。