【7月14日付社説】聖火リレー福島から/「復興五輪」具現化の一歩に

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 「希望の道を、つなごう。」という聖火リレーのテーマを本県から実践し、感謝とともに復興に向かう姿を世界に発信したい。

 2020年東京五輪・パラリンピック組織委員会が五輪開催前に47都道府県を巡る聖火リレーの順番と日程を決めた。3月26日に本県をスタート、全国を巡った後、7月24日の開会式で東京・新国立競技場の聖火台に点火される。

 東日本大震災と原発事故で甚大な被害を受けた本県を出発地にすることで、開催理念である震災からの「復興五輪」を前面に打ち出す。本県はこれまで組織委などに聖火リレーでの被災地への配慮を求めてきた経緯がある。出発地に選ばれたことを歓迎し、本番に向けて着実に準備を進めたい。

 具体的な聖火ルートは今後、各都道府県の実行委員会が策定。組織委がこれを取りまとめて、国際オリンピック委員会(IOC)の承認を得て、来年の春から夏にかけて公表することになる。

 本県では、来月にも実行委を設けてルートを検討する。前回1964年の東京五輪の際は、日数は今回と同じ3日間だったが、ルートは中通りを宮城県境から栃木県境まで南下しただけにとどまり、会津と浜通りは通らなかった。

 今回は、復興する姿を発信し、復興五輪を盛り上げるために、県内全域を巡るルートの設定が望まれる。日程はきつくなるだろうが、自動車での移動も一部考えながら、できるだけ多くの地域と県民が聖火リレーに関わりを持つことができるよう工夫を凝らすことが重要だ。また、当然のことながら本県の出発地は、全国の出発地となることを十分念頭に置き、最適地を選び抜くよう求めたい。

 東京五輪で本県では、福島市のあづま球場で、野球・ソフトボールの開幕試合が行われることが決まっている。今回、本県が聖火リレーの全国での出発地にも選ばれたことで、県民の五輪に対する関心の高まりが期待される。

 東京五輪が開かれる2年後は震災から10年目の節目の年となる。五輪をバネに復興をさらに進めるためには、本県としても復興五輪の機運を高めるとともに、国内外からやってくる選手や観光客を心から歓迎し、本県の現状を正しく認識してもらうことが必要だ。

 本県は震災と原発事故から7年余りを経てなお大勢の県民が避難生活を送り風評に苦しむ。それは組織委が本県を聖火リレーの出発地に選んだ理由でもある。東京五輪を名実ともに「復興五輪」とするために政府には風評対策などに一層力を入れるよう求めたい。