【7月15日付社説】12市町村遠隔授業/「ICT使いより良い学びを

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 復興の歩みとともに成長する子どもたちが、地域の未来を切り開く力を身に付けることができるようより良い学びの場を整えたい。

 県と復興庁は本年度、東京電力福島第1原発事故で避難指示が出された12市町村の小、中学校で、インターネットのテレビ会議システムを使い、複数の学校の子どもたちが一緒に学習できる「遠隔合同授業」を展開する。

 12市町村の児童生徒数は4月5日現在で856人で、東日本大震災前の2010年の約1割まで減少している。多くのクラスが少人数化しており、子ども同士が多様な意見を交わしながら学ぶ機会を確保しにくいという課題を抱えている。情報通信技術(ICT)を活用した授業で、子どもたちが学校の垣根を越えて「同級生」となり、活発に学び合うことができるような仕組みをつくりたい。

 復興庁と県は、遠隔合同授業の開始を前に、12市町村にICTや少人数教育に詳しい専門家を派遣して、授業を円滑に進めるための取り組みを支援する方針だ。

 合同授業では、離れた場所にある複数の教室の子どもたちがテレビ会議システムでつながり、一体感を持って授業に集中できるような環境づくりが大切だ。そのためには、各学級を担当する教職員の間で、子どもたちの自主性を引き出すような質問の仕方など、限られた時間を段取り良く、有効に使うための技術を共有することが欠かせない。専門家の派遣を通じて、授業の質を高めるための調整を確実に進めていってほしい。

 子どもたちが対話を通じて自分の考えを深め、判断力や表現力を養うことができるような授業を行うためには、中継が途切れたりするトラブルは避けなければならない。機器や通信システムに一定の質や統一性を確保していくことも重要になる。現段階では、機器の整備をどのように進めていくかの議論は煮詰まっていない。復興庁と県には、市町村の負担に配慮しながら必要な機器が導入されるように協議を急ぐことを求めたい。

 また、少人数教育の充実には、デメリットの解消ばかりに注目するのではなく、児童生徒の一人一人に教職員の目が届きやすく、丁寧な指導ができるという良い面を伸ばしていくことも肝心だ。

 県は、長崎県などの離島で行われてきた少人数教育の事例を参考に、12市町村の教職員を対象にした研修会を開く予定だ。子どもたちが学ぶことの楽しみを知り、学力の基礎を固めることができるような個人指導を進めていくきっかけにしたい。