【7月17日付社説】荒川8年連続日本一/美しさ磨き国内外に発信を

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 たゆまぬ環境保全活動が8年連続の清流「日本一」をもたらしたといえる。川を守ることの大切さを世代を超えて引き継ぎたい。

 国土交通省が、全国163の1級河川を対象に行った2017年の水質調査の結果、福島市を流れる荒川が「水質が最も良好な河川」として、他の15河川とともにトップに位置付けられた。

 163河川のうち「最も良好」という評価が、8年以上続いているのは東北では荒川だけで、全国でも北海道の尻別川、熊本県の川辺川と合わせて3河川にとどまる。今後も、地域と行政、関係機関が連携し合いながら、水質の維持に努めることが大切だ。

 川の汚れが進む最大の要因は流域からの生活排水とされる。良好な水質を保つためには、下水道の普及とともに、流域住民の河川愛護意識の向上や環境保全活動などの取り組みが求められる。

 荒川では、流域住民や企業、団体などが参加する「ふるさとの川・荒川づくり協議会」が保全活動の中心を担っている。協議会は1998年に設立され、今年3月で20年の大きな節目を迎えた。

 協議会は、春と秋の年2回、河川敷の清掃を行っているほか、自然探訪会などを通じて、市民が荒川に親しみをもってもらうための活動を展開している。2007年には、県内の環境保全団体を顕彰する福島民友新聞社の「みんゆう環境賞」を受賞した。子どもから大人まで幅広い層を取り込んだ活動が一層充実するよう望みたい。

 国交省は、05年の調査から河川を生物化学的酸素要求量など客観的な環境基準だけでなく、多様な視点から評価するために、住民と協働で「感覚的な水質指標」による調査にも取り組んでいる。

 調査は、ごみの量や水のにおいなどを実際に体感してもらう方法で行われ、荒川は今回、Aランクの「泳ぎたいと思うきれいな川」と評価された。感覚的な観点からも荒川が清流であることを裏付けられたことになろう。

 荒川は吾妻連峰を水源として、急峻(きゅうしゅん)な谷を流れ落ち、福島市西部を横切って、阿武隈川に注ぐ全長約30キロの河川。流域には、美しい景観や温泉、桜づつみ河川公園など憩いの場、さらに土木遺産に認定された治水システムなど数多くの資源や財産がある。

 2020年東京五輪では荒川沿いにあるあづま球場で、野球・ソフトボールの開幕試合が行われる。日本一の清流に磨きを掛けて、国内外から訪れる人たちを出迎え、荒川、福島市、そして福島県の良さを世界に強く発信したい。