【7月21日付社説】なりすまし詐欺/新たな手口に自衛策強化を

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 「なりすまし詐欺」の手口は、手を変え品を変え巧妙化の一途をたどっている。自分だけはだまされないとの過信は捨てて、自衛策をさらに強めたい。

 県警の調べで、今年1~6月に県内で被害が確認された「なりすまし詐欺」の件数は65件、被害総額は9355万円に上っていることが分かった。被害総額は前年同期並みではあるが、件数でみると23件の大幅増となっている。

 詐欺につながる恐れがある電話やはがきも、前年同期の約3倍の1503件に上った。

 被害件数は、過去最悪だった2015年に迫るペースだ。家庭や地域の集まりなど、あらゆる機会を通じて詐欺への注意を呼び掛け合いたい。

 なりすまし詐欺のうち被害件数が最も多かったのが、身内などを装った「オレオレ詐欺」だった。被害は27件で、全体の4割を占める。今年に入って目立つのは、警察官をかたって「あなたの口座が犯罪に使われている」などとうそを言って、キャッシュカードをだまし取り現金を引き出す手口だ。

 県警によれば、官民一体の啓発活動でオレオレ詐欺という犯罪は広く知られるようになり、「家族をかたる電話は危ない」と警戒する人が多くなった。しかし、警察官など公的機関の人物を名乗る手口には、ついだまされてしまう傾向があるという。公的機関が電話で現金やカードを要求し、暗唱番号を聞き出すようなことはありえず、詐欺だと言って間違いない。こうした電話があれば、迷わず家族や警察署に相談してほしい。

 有料サイトの料金などの名目で請求書を送り付けてくる「架空請求詐欺」は26件の被害があった。新しい手口は、個人情報を守るために使う「情報保護シール」を貼ったはがきを送ってくるものだ。一見すると公共料金の請求書に似ているため、注意が必要だ。

 なりすまし詐欺の被害者は高齢者が多いと思いがちだが、実は65歳未満が全体の4割を占める。今年上期の最年少は20歳の女性で、架空請求詐欺の被害に遭った。

 若者たちはスマートフォンで画像や動画を見ることが日常的になっており、架空請求のターゲットになりやすい。若年層を対象にした啓発活動の強化が求められる。

 また、詐欺と思われる電話がかかってきた場合には、犯行グループが伝えてきた電話や口座の番号をメモし、警察に通報することも大切だ。寄せられた情報は、罪のない人が犯罪被害に遭うことを防ぎ、社会からなりすまし詐欺を撲滅するための重要なカギとなる。