【7月28日付社説】Jヴィレッジ/再始動を復興加速の弾みに

  このエントリーをはてなブックマークに追加 

 7年4カ月ぶりに再始動する地域のシンボルをフル活用し、復興を加速させていくことが重要だ。

 楢葉、広野両町にまたがるサッカー施設「Jヴィレッジ」がきょう、営業を開始する。メインスタジアムを含む天然芝ピッチ6面、人工芝ピッチ1面などが利用できるようになる。117室を備えた新宿泊棟もオープンし、宿泊室は200室に倍増した。施設全体のうち約8割が利用可能になった。

 秋には全天候型練習場と人工芝ピッチ1面、さらに来年4月の全面再開時には天然芝ピッチ2面が使えるようになる予定だ。

 Jヴィレッジは東日本大震災と東京電力福島第1原発事故後、廃炉に向けた前線基地となっていた。本格的なサッカー練習施設「ナショナルトレーニングセンター」としての姿がようやく戻ってくる。約5千人収容のメインスタジアムや、国内初の全天候型練習場など新たな魅力を生かし、多くの人を呼び込むことが大切だ。

 そのためにもJヴィレッジの運営に関わる県や日本サッカー協会(JFA)は、全国レベルのサッカー大会やスポーツイベントの開催などに取り組んでほしい。

 Jヴィレッジは全面再開後の年間来場者数を、震災前の水準より10万人ほど多い60万人に掲げている。達成に向けては、サッカー以外の目的で利用する人を増やしていくことが大きな課題となる。

 Jヴィレッジには屋内競技がプレーできるアリーナもあり、ピッチはラグビーやアメリカンフットボールなどにも対応が可能だ。幅広いスポーツに使えることを競技団体や教育機関などにアピールしていく必要がある。夏は涼しく、冬は暖かいという浜通りの気候を生かし、四季を通じて合宿などの誘致につなげていきたい。

 新たにできた宿泊棟はシングルルームが中心で、会議などが開けるコンベンションホールも設けた。スポーツだけではなく、観光やビジネスでの利用も見込む。

 県は近く、地元自治体やJFA、JR東日本などと、Jヴィレッジの利活用策を考える検討会を設置する方針だ。周辺の観光資源の掘り起こしや、国際会議の誘致などあらゆる可能性を探り、施設の利用につなげたい。

 双葉郡は帰還困難区域を除き、ほぼ全域で避難指示が解除され、住民も徐々に戻ってきている。Jヴィレッジの再開で交流人口が増加し、さらなる地域の活性化が期待される。全国から来た人たちに復興が進む現状を見てもらう好機でもある。Jヴィレッジを核に、元気を地域全体に広げたい。