【8月1日付社説】イノベ構想の推進/地元企業の参加の輪広げよ

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 産業復興を進めるためには、整備された研究拠点などからもたらされる成果を地元企業の参画と成長につなげていくことが重要だ。

 浜通りの産業再生を目指す福島・国際研究産業都市(イノベーション・コースト)構想を巡り、自民、公明の与党両党が、政府への第7次復興提言で、地元の企業の参入を促進することができるような対策の強化を求めた。

 同構想は、浜通りに廃炉やロボットなど新たな分野の産業を集積することで、東日本大震災と東京電力福島第1原発事故で損なわれた産業基盤を立て直し、さらなる発展を目指すプロジェクトだ。

 しかし、これまでの取り組みは、ロボット実証拠点「福島ロボットテストフィールド」(南相馬市、浪江町)など各分野の研究開発拠点となる施設群を整備する段階にとどまっている。政府には、与党の提言をきっかけに、研究開発拠点をどのように活用すれば地元企業が新分野に参入することができるのかを考え、経済効果が地域に行き渡るような枠組みの構築を急いでほしい。

 同構想は、国と県、そして「福島イノベーション・コースト構想推進機構」(福島市)が連携して実現を図ることになっている。なかでも推進機構は、構想を進めていくための中核的な機関として設立され、4月から常勤の専従職員33人の体制で本格始動した。

 機構の業務は、新分野への参入を目指す地元企業への支援や構想を支える人材の育成など多岐にわたる。構想を地元の経済再生に着実に結び付けていくためには、機構が果たすべき役割を十分に発揮することが求められる。そのためには業務の進行管理を徹底するとともに、体制の在り方についても不断に点検することが必要だ。

 与党提言では、企業誘致と地元企業の技術力、経営力の強化を支援し、進出した企業とのマッチングを進めることも要請した。これらを実現するためには機構の積極的な活動とともに、国、県、市町村、福島相双復興官民合同チームなどとの密な連携が欠かせない。

 また、原発事故の影響で人口が減少している地域の再生を図る上では、廃炉やロボットなどの分野に進出してくる企業の従業員や家族に浜通りに定住してもらうことができるような環境づくりが課題になってくるだろう。

 住宅の確保や施設間を巡回する公共交通機関の整備などは、製造業にとどまらない雇用を生み出すことが予想される。市町村のまちづくりと連動させながら、地域の活力を引き出していきたい。