【8月2日付社説】自然災害とため池/対策尽くし未然に被害防げ

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 地震や豪雨など自然災害の発生に備えて点検と対策を尽くし、周辺住民の安全確保と被害の未然防止を図らなければならない。

 7月の西日本豪雨で、20カ所以上のため池が決壊し、大きな被害が出た。広島県福山市では3歳女児が流されて亡くなる事故も起きた。ため池の安全性の向上が全国的な課題となっている。

 ため池は、主に雨の降水量が少なく、近くに大きな河川がない地域で農業用水を蓄えるために造られた人工の池や沼のことをいう。県内には3768カ所ある。白河市の南湖や桑折町の半田沼といった大規模なものから、田んぼ1枚分ほどの貯水量しかない小規模なものまで、大きさはさまざまだ。

 ため池を管理する市町村や土地改良区などは危険な箇所はないか改めて点検し、防災と減災につなげていく必要がある。

 東日本大震災では須賀川市の藤沼湖が決壊し、8人の犠牲者が出た。この事故を受けて農林水産省は、各都道府県などに対し、下流に住宅や公共施設があり、決壊すると大きな被害が予想されるため池を「防災重点ため池」に選定するよう指示した。選定したため池については、市町村などが必要な補強を行うとともに、浸水予測や避難所を記載するハザードマップを作成・公表するよう求めている。

 県内で防災重点ため池になっているのは193カ所で、うち151カ所でハザードマップが作成された。残る42カ所のマップの作成も急がなければならない。

 疑問なのは、作成済みのマップのうち、公表されているのは半数未満の72カ所にとどまっていることだ。県によると、「管理する全ての防災重点ため池のマップを一括して公表したい」などといった市町村側の考えが、公表の遅れている背景にあるという。

 しかし災害が起きたとき、住民がマップの存在を知らなければ意味がない。各市町村はマップを作成したら、早期に住民に情報を周知すべきだ。

 住民側も普段の町内会などの避難訓練の際、河川氾濫や地震が起きた場合の対応に加え、ため池の決壊を想定した訓練も行うなど、防災への備えをより強めたい。

 西日本豪雨で決壊したため池の多くは防災重点ため池ではない比較的小規模なものだった。そのため農水省は、下流に人家がある場合は規模の大小にかかわらず、防災重点ため池に指定する考えだ。

 県や市町村も、小さなため池であっても決壊すれば重大な被害につながることを再認識し、安全策を講じることが欠かせない。