【8月4日付社説】東京医大入試/あまりにも理不尽でないか

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 不正入試問題に揺れる東京医科大で、一般入試受験者の得点を操作し、女性合格者の数を抑えていた疑惑が浮上した。1次試験の結果などを踏まえ、女性受験者の得点を一律に減点し、2次試験に進む女性を少なくしていたという。

 目標は女性合格者を全体の3割前後にすること。こうした操作をすることを大学側は受験者に伝えておらず、事実とすれば理不尽であり受験生に対する背信行為だ。

 大学病院や系列病院に必要な医師を確保するため、出産や育児で休職したり、退職したりする可能性がある女性医師の数を減らすことが狙いだったとされる。

 大学が自ら果たすべき課題解決の責任を女性医師の側に押し付け、受験から女性を排除する。それは差別以外のなにものでもない。学生を病院経営の道具と見なす考え方も、教育機関として全くふさわしくない。

 日本の医療現場の多くはいまだ「男社会」だ。医師全体に占める女性の割合は約2割と、経済協力開発機構(OECD)加盟国の中で最低水準にあり、平均の半分程度にとどまっている。

 なぜ、女性医師が増えないのだろうか。背景には、家庭生活との両立を支援する仕組みに乏しく、突出した長時間勤務を許容する労働環境がある。

 日本医師会が病院勤務の女性医師約1万人を対象に調べた結果によると、週60時間以上勤務の割合は25%と男性とほぼ同じだった。仕事を続ける上で、勤務環境の改善や子育て支援が必要だと考える人は約9割に上る。

 現状の改善に向け、厚労省の検討会は2月、医師の負担軽減の緊急対策をまとめた。1人の患者を複数の主治医で診る仕組みの導入などの対策のほか、女性医師が仕事を続けられるよう、短時間勤務など柔軟な働き方の導入なども求めた。実現すれば男性側の意識も変わる。女性に対する差別の根を絶つ、有効な手にもなるはずだ。

 気になるのは、ほかの私立大医学部でも女性合格者の割合を低く抑えるため、同じような得点操作がなされているのではないかとの見方があることだ。

 病院経営のために、どうしても必要だというのなら、募集要項で女性排除の方針を明示してみればいい。女性医師が歓迎されないような病院に果たして患者が行くだろうか。男性医師もそこで働きたいと思うだろうか。

 医療界の体質にも関わる問題である。問題の徹底的な解明とともに、議論を深め、改善されることを期待したい。