【8月8日付社説】酒米「福島酒50号」/日本一堅持へ開発に拍車を

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 酒どころ日本一の座を揺るぎないものにするため、本県の風土に適し、より優れた清酒を醸すことができる酒米の完成を急ぎたい。

 県は、県オリジナルの酒米として開発している「福島酒50号」を次世代の主力品種に位置づけ、普及を進める方針を固めた。福島酒50号は試験醸造の結果、雑味が少なく、兵庫県を中心に生産されているブランド酒米「山田錦」とほぼ遜色ない香り高い酒を造ることができると分かった。

 本県の酒造りは、豊かな自然が育んだ水と独自に開発した酵母、蔵元の技術により、全国新酒鑑評会の金賞受賞銘柄数で6年連続の日本一を達成した。しかし、鑑評会に出品する純米大吟醸などに使う酒米は、他県産の山田錦に頼っているのが現状だ。

 福島酒50号を山田錦と替えることができれば、名実ともに福島の「地酒」が完成する。県や蔵元、生産者などが力を合わせて新たな酒造りに挑戦することで、さらなる県産日本酒のブランド力の強化に結び付けてほしい。

 福島酒50号を使った試験醸造は昨年度、県内4蔵元で行われた。このうち1蔵元が3月の県春季鑑評会に参考出品して高い評価を得るなど、品質はおおむね及第点だった。ただ、各蔵元からは使い慣れている山田錦に比べると、それぞれの工程で効果を見極める手法に工夫が必要で、扱いにくい部分があるとの意見が寄せられた。

 ものづくりのレベルを高めるためには、現場の意見を尊重して常に改善を重ねることが重要だ。福島酒50号には、酒造りに使う中心部の「心白」が他の酒米よりも大きいなどの特徴がある。県には、つくり手の指摘を受け止めながら最適の醸造方法を確立し、県内の蔵元に周知する努力を求めたい。

 福島酒50号は現在、会津坂下町と会津美里町の計135アールで試験栽培を実施している。県は、一つでも多くの蔵元で酒造りに使ってもらうため、来年度は最大10ヘクタール程度まで栽培面積を拡大することができるように準備を進めている。

 酒米づくりでは蔵元が必要とする数量を高品質で、かつ安定的に供給できる体制を築くことが欠かせない。県とJAグループ福島などが連携を密にし、栽培力に定評のあるコメ農家を中心として着実に生産の輪を広げる必要がある。

 県は福島酒50号について、来年度に品種登録を申請し、2020年の東京五輪・パラリンピックの歓迎式典などに県産日本酒として提供することを目指している。残された時間を有効に活用し、最高の逸品を復興五輪に届けたい。