【8月11日付社説】南郷トマトGI登録/地域ブランド増強の弾みに

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 「南郷トマト」をトップランナーに、「地域ブランド」を県内に続々誕生させて、県産品の風評払拭(ふっしょく)と販路拡大を目指したい。

 南会津、只見、下郷の3町で生産されている南郷トマトが、農林水産省の地理的表示(GI)保護制度に登録された。南郷トマト生産組合(南会津町)が2016年に申請していた。

 GIは、特定の地域で作られた農林水産物や加工食品を地域ブランドとして守るために15年度から導入された。本県での登録は南郷トマトが初めて。これを契機に、県内の他の産品の登録に弾みをつけていきたい。

 南郷トマトは1962年に南郷村(現在の南会津町南郷)で栽培が始まった。昼夜の気温差が大きい気象条件を生かして、夏から秋にかけて生産されている。高い糖度とほど良い酸味が調和した確かな品質と長年にわたって培われた栽培技術などが認められた。

 登録により農水省が定めた「GIマーク」をつけて販売できるようになる。他産地との差別化や模倣品の排除などが図られるほか、知名度向上や需要拡大による新規就農者ら担い手の確保も期待できる。今後も品質とブランドを守りながら生産体制を強化し、次世代に引き継いでいきたい。

 農水省によると、全国で登録されているのは、夕張メロンや米沢牛など36道府県とイタリア(生ハム)の計66品目。国際的な知的財産権の一つにも位置付けられ、100カ国以上で保護される。

 登録によって、鳥取砂丘らっきょう(鳥取県)は年間販売額が25%増えたほか、欧州連合(EU)では未登録の産品より1・5倍程度高い価格で取引されているという調査データもある。GI登録の取り組みは、ブランド保護だけでなく、農家や加工団体の所得向上とともに、意欲と誇りをもたらすことにもつながるだろう。

 県内では、JAふくしま未来伊達地区本部などが「伊達のあんぽ柿」、川俣町農業振興公社などが「川俣シャモ」の登録を目指している。このほか、県内には高品質で特徴があり、伝統的に作られている産品が数多くある。制度を積極的に活用して県産品の魅力と競争力を向上させていきたい。

 県は、GI登録が農林水産業の振興に役立つとして、生産者団体などに対して、南郷トマトの事例を紹介するほか、登録に向けた情報提供や助言・指導などを行っていく考えだ。県とJAが推進する農業生産の第三者認証「GAP」の取得とともに取り組みを加速させていくことが求められる。