【11月13日付社説】子どもの読解力/学力の基盤を確実に育もう

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 「幕府は、1639年、ポルトガル人を追放し、大名には沿岸の警備を命じた」

 「1639年、ポルトガル人は追放され、幕府は大名から沿岸の警備を命じられた」

 二つの文は同じ意味かどうか。

 国立情報学研究所の研究チームが2016年に、全国の中高生を対象に行った読解力調査の出題例だ。幕府と大名の関係が入れ替わっているため、正解は「異なる」なのだが、中学生の43%、高校生の28%が「同じ」と誤答した。

 調査の名称は「リーディングスキルテスト」。教科書や新聞記事などの文章を読んでもらい、意味や構造を理解できているかどうか診断する。この時の調査では、主語と述語の関係といった「係り受け」など、文章の基本的な構造を理解できていない中高生が多くいるとみられることが分かった。

 県教委がきのうから、同テストによる県内小中高生の読解力調査に乗り出した。浜、中、会津地方の公立小学校12校、中学校11校、高校23校の計約6200人を対象にモデル的に実施する。

 本年度の全国学力テストでは、本県の小6、中3生ともに、読解力がより求められる応用問題(B問題)における正答率が全国平均に比べて低い傾向にあった。この傾向は以前から続いている。

 読解力は、さまざまな情報を正しく読み取り、理解するために必要であり、国語だけでなく、数学や社会など他の教科を学ぶ際の基盤となる。県教委には調査結果を詳しく分析して、指導方法を改善し、全県の児童生徒の学力向上につなげるよう求めたい。

 県内では、新地町が16年度から同調査を導入して成果を上げている。町教委によると、導入前の14年度の全国学力テストでは小中生の国語と算数・数学ともに全国平均を下回っていたが、ICT(情報科学技術)教育の活用もあり、現在はほとんどの科目が全国水準に達し、一部は上回っている。

 町教委は「教員が教材を理解できていても、子どもたちが読み取れているとは限らない。調査でそれが分かる。まずは読み取る力を育て、考える力、そして各教科の力をつけることが大切」とする。

 県教委によると、全県的な規模の読解力調査は、全国でも先進的な取り組みとなるという。調査結果を確実に生かして、効果的な指導方法を編み、本県が全国のモデルになることを目指すべきだ。

 読解力は、子どもたちが将来、社会生活を営む上でも必要な力である。学校だけでなく家庭も読書の習慣付けなどに取り組みたい。