【12月18日付社説】医療的ケア児/社会で支える体制整備急げ

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 日常的に医療の助けを必要とする子ども「医療的ケア児」と、保護者を支える体制整備が急務だ。

 県は、医療的ケア児の支援の在り方を検討するため、医療や教育、福祉など各分野の関係機関でつくる合同会議を設立した。医療的ケア児をめぐる現状について各機関が情報を共有し、課題解決に向けて連携して取り組んでいくことを目的に掲げている。

 子どもたちが安心して保育や教育を受けることができ、介助している保護者の負担ができる限り軽くなるような環境をつくることが課題となっている。各機関は合同会議などを通してニーズの把握に努め、きめ細やかな施策につなげていかなければならない。

 医療的ケア児は、たんの吸引や鼻から栄養を送り込む「経管栄養」などが必要な子どもたちだ。厚生労働省の試算によると、2015年度時点で全国に約1万7千人いる。医療技術の進歩で多くの命を救えるようになったことなどもあり10年間で倍近くに増えた。

 県内での数はこれまで分からなかったが、会議を前に初めて調査を行い、4月1日現在で県内に166人がいることが判明した。内訳は6歳以下の未就学児が50人、小中学生が98人、義務教育を終えて特別支援学校の高等部に通うなどしているのが18人だった。

 学校や保育所で子どもたちを受け入れるためには看護師か所定の研修を受けた保育士や教員を配置することが必要となる。しかし、態勢が整っているのは都市部の保育所や特別支援学校などに偏っているのが現状だ。

 そのため保育所に入所することを諦めてしまったり、就学しても家族が長距離通学の送迎や、授業の付き添いをしたりしなければならないケースもある。

 子どもたちや保護者の負担を和らげるためには受け皿の拡充が欠かせない。地域の医療機関から学校に看護師を派遣してもらう仕組みをつくるなど、子どもたちの療育の充実に向けて知恵を絞っていく必要がある。

 県は今後、保護者と関係機関を橋渡ししたり、それぞれの子どもに合わせた支援を調整したりするコーディネーターを養成し、各市町村に配置したい考えだ。

 16年改正の障害者総合支援法と児童福祉法では自治体が医療や福祉分野などと連携し医療的ケア児の支援に務めるよう定められた。

 子どもと保護者が必要な支援を受けられず、孤立してしまうようなことがあってはならない。住民に身近な市町村をはじめ社会全体で支えていく必要がある。