【1月24日付社説】いわきの水素利用/官民連携で需給の好循環を

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 「水素社会」の実現に向けた取り組みを着実に進め、市の発展と浜通りの復興につなげたい。

 いわき市内で水素の利活用を進める動きが加速している。民間主導で市内に整備が進む県内初の商用定置式水素ステーションが3月に完成するのを踏まえ、いわき商工会議所が呼び掛け、市内の複数の企業が水素を動力源とする燃料電池自動車(FCV)を計26台導入する予定になっている。

 水素は、化石燃料に代わる次世代のエネルギー源として、自動車や産業分野での研究開発が進んでいる。特に風力発電や太陽光発電などの再生可能エネルギーを使ってつくった水素は、製造過程で二酸化炭素(CO2)を排出しないため、地球温暖化を引き起こさない環境に配慮したエネルギーとして注目されている。

 水素の製造を巡っては、浪江町に再生可能エネルギーを活用した世界最大級の製造拠点の整備が進められている。同商議所は、製造拠点の近くのいわき市内に水素を積極的に使う環境をつくることで、水素エネルギーの需要と供給による新たな経済循環を生み出そうとしている。双葉郡を含めた広域的な地域再生につながるよう水素利用の輪を広げてほしい。

 同商議所は、FCVが走る姿を市民や企業に見てもらうことが、水素エネルギー利活用の第一歩になると分析している。次のステップとしては、さらなるFCVの導入などを進めていわきが水素利用を推進する地域であることをアピールし、水素関連の企業や実証事業の誘致に結び付け、経済の活性化を図る道筋を描いている。

 民間の動きに歩調を合わせ、いわき市もFCVや水素バス(FCバス)を購入する企業への補助などを検討している。しかし、企業誘致などを実現するためにはより一層の連携強化が求められる。水素関連の振興計画をつくるなどして戦略を明確にし、官民一丸となって次世代エネルギーの先進地を目指す体制を確実なものとしていくことが重要だ。

 政府は、東日本大震災と東京電力福島第1原発事故からの復興事業の一環として、本県で再生可能エネルギーなどの分野に対して重点的な支援を行っている。

 水素の利活用は全国的にも始まったばかりだ。政府の支援を追い風に、いち早く「つくる」「ためる」「使う」のサイクルをつくり上げることができれば、まちづくりのノウハウを国内外に売り込むことが可能になる。雇用を生み出す本県発の新たな産業になるよう努力を重ねることが欠かせない。