【3月24日付社説】「甲子道路」完成/地域振興へさらなる活用を

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 「悲願百年、父祖三代の夢」といわれた道路の完成を契機に、一層の活用を図り、地域振興に弾みをつけていきたい。

 国道289号「甲子道路」が、1975年度の事業着手から40年余の時を経て全線完成する。24日には、最後に残されていた下郷町の南倉沢バイパスの3工区(2・6キロ)の完成式が行われる。

 甲子道路は、本県南部を東西に走る国道289号のうち、下郷町から西郷村までの約23キロの区間を指す。この峠越えのルートは江戸時代、会津の馬飼いが白河の馬市への往来に使い、にぎわいを見せていた。しかし、険しい山道のため車両が通行できず、時代の流れの中で次第に廃れていった。

 国道指定後も通行不能区間は解消されず、南会津と県南は「近くて遠い」存在となっていた。このため、県が道路整備に着手したが、深い谷に橋を架け、山に長いトンネルを掘る事業は困難を極め、一部で国の協力を得たものの完成には長い歳月を要した。

 今回の完成式で、総事業費473億円に及んだ整備事業が全て終了する。県は、南会津と県南を結ぶ大動脈として甲子道路を役立てていかなければならない。

 工事の最大の節目となったのは、2008年の「甲子トンネル」(全長4・3キロ)の開通だ。トンネル開通により通行不能区間が無くなったことで、下郷町役場~白河市役所間は、迂回(うかい)路を使った場合に比べ移動時間が約4割短縮され、40分程度で結ばれた。

 県によると、甲子道路の交通量(午前7時から12時間)は15年度、平日は3703台、休日は6432台だった。開通前の05年度と比べると、平日で約4倍、休日で10倍超に増えている。特に首都圏からの利便性が高まり、下郷町の観光名所「大内宿」の来場者は年間で約80万人を維持している。

 県と沿線市町村は、甲子道路を首都圏からの「会津への玄関口」として位置付け、外国人旅行者の誘客も視野に入れた広域観光ルートの充実に力を注いでほしい。

 また、甲子トンネルの開通から10年が過ぎたことを踏まえれば、地域経済にどのような影響をもたらしたかを調査し、道路の新たな利活用を考えることも大切だ。

 甲子道路の完成により、南会津の交通事情は大きく改善した。ただ、新潟県境の国道289号「八十里越」や、会津を南北に結ぶ「会津縦貫南道路」の整備はまだ途上だ。県には、南会津の交流人口のさらなる拡大を図るため、必要な社会資本の整備に継続して取り組んでもらいたい。