【4月18日付社説】鶴ケ城大改修/シンボルの魅力磨く好機に

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 会津若松市が、国指定史跡で観光シンボルである、鶴ケ城の大改修に着手する。

 天守閣の耐震強度を高める工事で、2021年度の施工に向け本年度、基本設計に入る。これまでで最も大規模な改修となるが、魅力を高める良い機会でもある。より輝きを放つ観光資源になるよう知恵と工夫を凝らしたい。

 現在の天守閣は1965年に、地上5階、地下1階の鉄筋コンクリート造りで建てられた。昨年7月の調査で、震度6弱程度までは耐えられるものの、一部で建築基準法の耐震基準(震度6強以上)を満たしていないことが分かったため、2階と5階の壁を厚くして補強する。市は現時点で6カ月程度の工期を想定する。

 鶴ケ城天守閣の5階からは、城下町を一望できるほか、かなたには飯豊山、磐梯山を眺めることができる。天守閣に登る年間約60万の人々が安心してパノラマを楽しむことができるよう工事には万全を期さなければならない。

 鶴ケ城で大規模な改修が行われるのは2010年3月以来。約1年をかけて屋根瓦を赤瓦に葺(ふ)き替える工事が行われたが、同年4月から8月まで5カ月間の天守閣入場者は前年同期比で約25%、約9万7千人減少した。工事用のシートで城が覆われ、全景が見えなくなったことが要因とみられる。

 今回の改修について市観光課は「できる限り、観光客への影響がないようにしたい」としている。工事が長期に及ぶようであれば、観光シーズンのピークに掛からないようにしたり、工期を分けたりするなどの配慮が必要だろう。

 昨年、会津若松市を訪れた観光客は、戊辰150年を記念したイベントの効果などもあり、306万4千人と3年ぶりに300万人を突破した。一方、昨年度、県外から教育旅行で訪れた学校は670校で、前年度より31校増えたものの東日本大震災前の約8割の水準にとどまっている。

 天守閣内には、会津の歴史や文化、先人らの業績を学ぶことができる常設展示などがあり、教育旅行に適した教材がそろっている。改修工事によって、回復基調にブレーキがかかることだけは避けなければならない。天守閣への入場を制限せざるを得ない工事内容になるのであれば、近くに会場を設けて常設展示の公開を続けることも検討してもらいたい。

 鶴ケ城は同市のシンボルだけでなく、会津地方、さらには本県を代表する観光スポットの一つである。この機に展示内容にも磨きを掛けて集客力を強めてほしい。