【4月19日付社説】ひきこもり支援/高年齢化への対応急がねば

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 ひきこもりは若者特有の現象という従来のイメージを覆す結果である。背景を丁寧に分析し、有効な支援を打ち出す必要がある。

 内閣府が、半年以上にわたり家族以外とほとんど交流せず、自宅にいる40~64歳のひきこもりの人が全国に61万3千人いるとの推計値を公表した。中高年の実態が明らかになったのは初めてだ。

 団塊ジュニアを含む40代以上はバブル崩壊後の就職氷河期を経験した人もいる。思うように仕事が見つからなかったり、職場でつらい経験をしたりして、ひきこもったケースもあるとみられる。

 2000年代初頭にはニートという言葉が登場し、国は30代までの就労支援を強化した。ただ半年以内の就労という性急な目標を掲げたため、さまざまな困難を抱えたり、年齢制限を超えたりした人が取り残され、今に至る可能性も捨てきれない。個別の事情をくんだ支援ができていたのか。国や自治体、関係機関は省みて今後の対応に生かさなければならない。

 課題は、就労にとどまらない。ひきこもりが長期化すると、同居の親も高齢化し、病気や介護、経済的困窮といった複合的なリスクが生じる。調査では3人に1人が高齢の親に経済的に依存していることも判明した。福祉の現場では親が80代、本人が50代で生活が困窮する「8050問題」も指摘されている。

 15年施行の生活困窮者自立支援法で、ようやく40歳以上が支援対象になったが、相談窓口を設置しているだけという自治体も多い。県内でひきこもりの人を支援する民間団体の担当者は「親が子を支えきれなくなってきている」と厳しさを増す現状を指摘する。きめ細かな支援が急務だ。

 ひきこもりの長期化や高齢化が調査によって裏付けられたが、県には、中高年のひきこもりを担当する部署がないのが現状だ。今回の調査結果を受けて、就労支援や生活保護など関連する部署の連携強化について検討を始めたというが、担当部署が明確でなければ、実効性のある対策を講じることは難しいのではないか。

 また、今回の調査で判明したのは全国の推計値であり、県内の状況は分からないままだ。秋田県藤里町では社会福祉協議会が2010年から1年半をかけて戸別訪問による実態調査を行い、自立を後押しした結果、8割以上が社会復帰した例もある。参考にしたい。

 ひきこもりの背景は十人十色だが生きづらさの原因は社会の側にもある。本人の視点に立った支援の形を社会も考えるべきだ。