【4月20日付社説】新生Jヴィレッジ/フル稼働させ復興けん引を

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 スポーツ振興と交流人口拡大への舞台は整った。施設を最大限に生かし、復興に弾みをつけたい。

 楢葉、広野両町にまたがるサッカー施設「Jヴィレッジ」がきょう全面再開する。東日本大震災と原発事故後、廃炉に向けた前線基地となっていたが、昨年夏の一部再開などを経て、本格的なサッカー練習施設「ナショナルトレーニングセンター」が復活する。

 新生Jヴィレッジは、天然芝ピッチ8面、人工芝ピッチ2面など震災前の陣容に加えて、全天候型練習場を新設、宿泊棟も客室が200室へと倍増した。全国規模のサッカー大会はもちろん、さまざまなイベント開催の受け皿が出来上がった。今後は、整った施設をどのようにフル活用していくかについてが課題となる。

 一部再開した直後の昨年8月から今年2月までの施設利用者数を見るとそのヒントが見えてくる。宿泊棟の宿泊者は1万7823人で震災前の2009年の同期間と比べて95%の水準となった。復興関連のビジネス利用があるためとみられる。ただ、部屋数を倍増させたことを考えれば、新たなニーズの掘り起こしが求められよう。

 一方、ピッチなどフィールドの利用者は約1万6600人で、09年同期に比べると約40%の水準にとどまっているのが現状だ。

 今回の全面再開で、残りの天然芝2面も使えるようになるなど体制は万全となった。利活用を後押しする動きも活発で、日本サッカー協会が東京五輪のサッカー男女代表の強化拠点として位置付けているほか、サッカー以外の競技での利用も広がっている。新たな大会の開催や合宿誘致に向けて競技団体などへの働き掛けを強めていくことが肝心だ。

 人工芝ピッチ1面を備える全天候型練習場は「国内初」が売り物だ。しかし現在は消防法上などの制約から音楽ライブなどのイベントを開くことができない。国内初というセールスポイントを生かすことができるよう改善策を検討してもらいたい。

 全面再開と同時に、JR常磐線には最寄り駅となる新駅「Jヴィレッジ駅」が開業する。常磐線での新駅開業は1998年以来21年ぶりで、Jヴィレッジなどでのイベント時に止まる臨時駅として運用される。改札からJヴィレッジ敷地まで徒歩2分という近さだ。

 双葉郡では帰還困難区域を除いて、ほぼ全域で避難指示が解除され住民も徐々に戻ってきている。Jヴィレッジの全面再開、新駅開業をバネに復興の輪を地域、浜通り、県全体へと広げていきたい。