【4月21日付社説】白河小峰城/復活をまち活性化の弾みに

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 白河市の国指定史跡「小峰城跡」できょう、東日本大震災で約1500平方メートルにわたって崩落した石垣の「修復完了宣言」が行われる。震災から丸8年を経て、城下町・白河のシンボルの完全復活が全国に発信されることになる。

 復旧工事では、文化財としてできる限り元の姿に修復することが求められた。市は、崩落した石の一つ一つの特徴を「石材カルテ」に記録し、文献や過去の写真を参考にしながら、江戸時代の工法を使って再び元通りに積み上げる道を選んだ。難工事だったが、全国の石工職人の協力もあって見事に成し遂げることができた。

 市は、石垣が崩落した姿や工事の過程を折に触れて公開することで、市民と再建の歩みを共有してきた。復元された堅固な石垣は、古里の復興を願う市民の思いが結実した姿と言える。震災の苦境を乗り越えた証しとして、長く後世に引き継いでいってもらいたい。

 小峰城跡は文化財として貴重であるばかりではなく、観光地としての顔も持つ。市によれば、城跡を訪れる人の数は震災前、年間5~7万人台で推移してきた。しかし、三重櫓の修復を経て一般公開を再開した2015年には6万8千人を記録し、その後は毎年8万人を超える人が訪れるなど、来場者の数は震災前より増えている。

 市は来場者の増加について、復興の象徴として工事が進められていることが伝わり、認知度が高まったためと分析する。20日には、バーチャルリアリティーで江戸時代の城の様子を体感できる最新設備を備えた「小峰城歴史館」もオープンした。市は、石垣の修復完了をきっかけに、より多くの観光客を呼び込み、地域の活性化に結び付けていくことが重要だ。

 また、近年では台湾などからの外国人観光客の姿も見られるようになった。海外への積極的な情報発信や、同市屈指の観光名所「南湖公園」とセットにしたツアーづくりなどを進めれば、歴史文化に興味を持つ外国人観光客のさらなる誘客が期待できそうだ。

 文化庁は、小峰城跡の復旧工事について「石垣再建の成功事例として、考え方や方針が大いに参考になる」と指摘する。実際に、地震などで石垣が崩落した熊本城(熊本県)や丸亀城(香川県)では、小峰城跡の取り組みを参考にして再建事業が進んでいる。

 被災の教訓が他の地域で生かされれば、震災時に受けた支援の恩返しとなる。市は石垣修繕のノウハウの提供などを通じて、城郭がある全国の自治体との新たな地域間交流にも取り組んでほしい。