【聖光学院−学法福島】５回表聖光学院２死二塁、ピンチを迎えマウンドに集まる学法福島内野陣＝いわきグリーンスタジアム

　球場にゲームセットの声が響いたとき、学法福島の選手たちは、どこか満足げな様子だった。先発渡辺侑也（３年）は「自分たちの力を出し切ることができた」とすがすがしい表情で語った。
　準々決勝の舞台で対戦したのは、同じ県北地区の聖光学院。今春の県大会地区予選では、２−１２の５回コールド負けを喫した。渡辺は２回途中から登板したが、「四球で自滅し、自責点１０とふがいない投球をしてしまった」と雪辱を期してのマウンドだった。
　「聖光打線は球を拾うのが、うまい左の好打者が並ぶ。左打者対策として、当てただけでは安打にできない所に投げられるように練習を重ねた」。その言葉通り、４回まで左打者に許した安打は１本だけだった。
　好投していた渡辺に聖光学院打線が襲いかかったのは５回。先頭打者を安打で出し、２死二塁となって、左の好打者斉藤晃平（３年）を迎えた。「思い切り振られてしまった」という当たりは右翼手の頭を越える同点の適時三塁打。気落ちしたところで２点適時打を許し、試合をひっくり返された。
　「藤森監督を甲子園に連れて行くことができなかった」と心残りを打ち明けながらも、球場を後にする渡辺の姿には王者を苦しめた充実感が漂った。

　聖光学院・田村が逆転適時打
　「良い球が来たら思いきりたたこうと決めていた」。値千金の逆転適時打を放った聖光学院の田村勝歩（３年）は満面の笑みで振り返った。
　同点とした５回２死二、三塁の場面で打席に立った田村。「バッティングカウントで甘く入った直球だった」。思いきり振り抜いて中前に運び、２人が生還、試合の流れを一気に引き寄せた。
　鮮やかな逆転劇に主将松本剛（３年）も「この大会では先制を許す試合が続いてきた。逆転の一打でチームの雰囲気が変わった」と田村をたたえた。
（２００９年７月２３日　福島民友・高校野球ニュース）