【喜多方―相双連合】７回裏相双連合１死、中村が左越え本塁打を放ち、ベンチのナインに迎えられる＝鶴沼球場

　第９３回全国高校野球選手権福島大会第２日は１４日、郡山市の開成山球場など５球場で１回戦１５試合を行った。双葉翔陽、富岡、相馬農の３校でつくる「相双連合」は喜多方に終始主導権を握られ、１―８で７回コールド負けしたが、終盤に本塁打を放つなど意地を見せた。浪江は初回から打線が爆発、一気にリードを広げると終盤にも得点を重ね、湖南に６―０で完勝した。学法石川は初回に奪取した３点を守り切り、３―１で福島工に勝利。光南は１６―０で平商に５回コールド勝ちした。第３日の１５日は、開成山球場など５会場で１回戦７試合と２回戦５試合の計１２試合を行う。

　４番中村が一発
　６回まで無安打に抑え込まれた相双連合は、窮地に立っていた。
　７回の攻撃。富岡から唯一参加した４番中村公平（３年）は、服部芳裕監督から「ホームランを狙ってこい」と送り出された。
　カウント１ボール１ストライク。中村は自身の気持ちを落ち着かせるように、バッターボックスの足場をならした。「地域の人々に頑張っている姿を見せたい」。その一心で、バットを力強く握った。狙い球に絞っていた直球を、勢いよく振り抜くとボールは、左翼方向に高々と上がりスタンドイン。大歓声とともに、会場のボルテージは最高潮に達した。続く６番林優太朗（３年）、７番根本翔矢（３年）も連打で続き、土壇場で底力を見せつけた。
　「追いかける苦しい場面だったが笑顔でプレーできた」と中村。相双連合ナインは苦境に負けず、一球一打に全身全霊を込めて戦い抜いた証しを、グラウンドで表現した。
（２０１１年７月１５日　福島民友・高校野球ニュース）