【いわき海星―福島南】９回裏いわき海星１死満塁、鈴木悠の中犠飛で三走吉田がサヨナラのホームイン。捕手制野＝あいづ球場

　第９３回全国高校野球選手権福島大会第５日は１７日、郡山市の開成山球場など５会場で２回戦１２試合を行った。前期日程が終了し、３回戦進出の３２校が決まった。東京電力福島第１原発事故の影響で母校を離れて野球を続ける「サテライト実施校」の５チームのうち、３チームが勝ち上がる奮闘を見せた。校舎やグラウンドが津波被害を受け、逆境を乗り越えて出場した、いわき海星は６―５で福島南にサヨナラ勝ちした。昨夏８強の福島東は終盤に逆転を許しながらも驚異の粘り強さで再逆転、四倉に９―８で勝利した。平工は８回に勝ち越し、４―３で県立石川を下した。須賀川は２―１で白河実を破って接戦を制した。後期は２１日に再開する。同球場など７会場で３回戦１６試合を行う。３回戦の試合会場と開始時間は１８日に決まる。決勝は２７日の予定。

　勝利呼んだ全力プレー
　「今、こうやって野球ができることを感謝したい」。東日本大震災による津波で練習場と野球道具を失った時から再スタートしたいわき海星ナインは全力プレーで球場を熱くした。
　９回裏、土壇場で同点に追いついたいわき海星は１死二、三塁で三走に代走吉田憲太（２年）を送った。一打サヨナラの場面で松浦涼（２年）は中飛。代走が初めてという吉田はタッチアップを切れなかった。
　アウトカウントが増え打席に立った鈴木悠太（１年）は初球を打ち上げた。中堅手が捕球した瞬間、一気に駆け出した吉田は気迫でホームに飛び込んだ。そこには、劇的な逆転サヨナラの瞬間が待っていた。
　全国各地から届けられた野球道具を手に、体育館のキャッチボールから練習を再開したナイン。逆境をはねのけた選手たちの全力プレーは勝利への原動力となった。
（２０１１年７月１８日　福島民友・高校野球ニュース）