「福島」背負い奮闘 福田捕手、チーム支える
意地でも後ろにそらさない―。復興への思いを背負い、夏の甲子園2回戦で金沢(石川)と熱闘を繰り広げた本県代表の聖光学院。エース歳内宏明投手(3年)が決め球「スプリット」を武器に毎回の14奪三振の好投を見せた陰で、女房役の福田瑛史捕手(3年)が奮闘。「勝つことで福島に元気を届けたい。そして、歳内を日本一の投手に」。捕球が困難なほど大きく変化するスプリットを、あざだらけになりながらも必死に止め続け、チームに勢いと安心感をもたらした。
金沢戦直前。「歳内の状態は良くない。負担を軽くするためにも全部止める」。秘めた思いを体現しようと意地を見せ、一つの捕逸、打撃妨害も出さなかった。
チームは歳内、芳賀智哉(3年)両投手と、2人の全国レベルの投手を擁する。正捕手としてマスクをかぶるようになってから「投手陣が生きるかは自分次第。寝ても覚めても捕球やリードのことを考えた」。当初はスプリットを思うように止められず、あざが次々増えた。今でも試合後の防具の下は、あざだらけになる。
試合後、歳内投手に駆け寄り「こんなキャッチャーでごめん」。全国トップレベルの投球を生かせなかったという責任感から出た言葉だった。「もっと楽に投げさせてやりたかった。日本一になれる投手、チームだった」。歳内投手から「スプリットを投げられる」と信頼を寄せられる実力はあるがチームやエースへの申し訳なさでいっぱいになった。
出身は栃木県。入学前は福島での生活に、不安も大きかった。「2年半で福島が好きになった。被災はつらいが、聖光の諦めない姿勢で何かが伝わってくれたら」。入学前は「わがままだった」と振り返る選手が、確かな成長を見せた。
(2011年8月13日 福島民友・高校野球ニュース)
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