聖光・園部が4番の一振り 起死回生、7回に特大弾
4番園部聡(3年)の一振りが試合を決めた。バックスクリーンに飛び込む度肝を抜く本塁打で、5回に追い付き勢いづく鳴門ベンチを沈黙させた。“センバツ”県勢3本目、22年ぶりの本塁打が初の8強入りをたぐり寄せた。
「苦しい流れだった。まさかあそこでホームランが出るとは。大した打者だ」と斎藤智也監督。指揮官の胸を熱くするほどの1本だったが、園部はこの打席まで3打席凡退。5回に放った中越えへの大飛球も、深めに守った中堅手の好守に阻まれた。
その園部に7回、絶好機が訪れた。なんとしても相手より先に勝ち越したい場面。2死無塁で打席に入ると、一つのボールを挟みながら6度のファウル。手元で鋭く曲がるカットボールに何度も食らい付いた。追い込まれても待っていたのは直球。鳴門のエース板東湧梧(3年)が投げ込んだ139キロの直球を仕留め、昨年夏の浦和学院戦の本塁打と同じバックスクリーンに運んだ。
この本塁打で高校通算44号。しかし、昨年秋は不調にあえいだ。県大会から徹底的にマークされ、公式戦は2割9分で本塁打0本。4番を外されたこともあった。
この冬は1日1000スイングを課し、インパクトの瞬間に左腰が伸び上がり、目線がずれるフォームの改造にも着手した。
「スイングスピードが上がることで、ボールを長く見られるようになった」と技術面での成長を実感する。斎藤監督は「甲子園の怖さを知っている男としてチームを鼓舞していた。苦しかったと思うが、また一つ大きくなった」とチームの精神的支柱としての成長も感じていた。
(2013年3月29日 福島民友・高校野球ニュース)
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