【日大東北−光南】試合終了後、健闘をたたえあう光南の佐藤翼（右）と日大東北の大和田＝開成山球場

　第９６回全国高校野球選手権福島大会第８日は２２日、郡山市の開成山球場など４球場で４回戦計８試合を行い、ベスト８が出そろった。
　完全試合を達成した菅野秀哉（３年）を擁する小高工は聖光学院に０−２で敗れた。日大東北は３回戦に続き９回に逆転、光南を６−３で下した。学法石川は郡山の好投手渡辺謙悟（３年）を相手にした投手戦を制した。いわき勢同士の対戦となったいわき海星−いわき光洋は打力に勝るいわき光洋が１２−３の７回コールド勝ちし、田村は白河に１−８のコールドで敗れた。
　２３日は開成山、いわきグリーン両球場で準々決勝計４試合を行う。準決勝は２５日、決勝は２６日に開成山球場で行う。

　光南・佐藤「大和田に勝ちたかった」
　「ナイスピッチング」。試合後、中学時代からの友人で甲子園を夢見て切磋琢磨（せっさたくま）してきた日大東北のエース大和田啓亮（３年）に声を掛けられた光南の佐藤翼（３年）はあふれる涙をこらえず、万感の思いで「ありがとう」と返した。
　中２の時、県南選抜に選ばれた２人は意気投合した。大和田は、当時からエースとして際立っていた。佐藤は走者を背負った場面での心構えを教わるなど、大和田とともに成長してきた。
　高校野球最後の夏。「相手が大和田だからこそ絶対に負けたくない」。好敵手の前で最高の投球を見せようと強い決意で佐藤はマウンドに登った。切れ味鋭いスライダーを武器に強打を誇る日大東北打線を次々と内野ゴロに打ち取った。先制こそ許したが８回まで４安打１失点。２点をリードして最終回を迎えた。
　しかし、勝利の重圧と疲労がのし掛かる。３本の安打で１点を返された。２アウトを奪ったが、勝負球のスライダーが甘く入ったところを痛打されて逆転を許し、この回計５失点。あと一つのアウトを取ることができずマウンドを降りた。
　それでも佐藤は「第１シード相手に３年間で最高の試合ができた」と胸を張った。「大和田には絶対に甲子園に行ってほしい」。夢をライバルに託した。
（２０１４年７月２３日　福島民友・高校野球ニュース）