> 高校野球ニュースTOP > 夏の甲子園ニュース
|
長い夏、成長を実感 聖光学院の5主将、ナイン支える
|
【聖光学院−日本文理】9回表、伝令に向かった山口主将(右から2人目)=甲子園
|
全国制覇を目指し、がむしゃらに走り続けたナインの「夏」が終わった。阪神甲子園球場で22日行われた第96回全国高校野球選手権大会準々決勝で日本文理(新潟)に敗れた聖光学院。昨秋の県大会で県内公式戦連勝記録を止め、一時は野球への思いが途切れかけたナインだが、「日本一」に向かって再起し、夏の甲子園連続出場の伝統をつなぐだけでなく「夏3勝」という新たな歴史も刻んだ。ばらばらだった選手の思いを一つにしたのは「5人の主将」だった。
9回表。ピンチの場面で伝令に向かった山口優主将(3年)は笑顔で2年生バッテリーに声を掛けた。「自分のいい球だけを続けてでもいいから投げろ」。9回裏も主将として最後までナインを鼓舞し続けた。その山口主将の目から初めて涙がこぼれたのは、試合終了の瞬間ではなく、応援スタンドに向かって頭を下げた時だった。「自分たちは周りの人にたくさん迷惑を掛けた。甲子園でその恩返しがしたかった」
昨秋の県大会で日大東北に敗れ、県内公式戦の連勝記録が「95」で止まった。伝統を絶ってしまったことが情けなく、「辞めようと思った」と明かす選手もいる。当時主将だった伊三木駿選手(同)は「それぞれの個性が強く、まとまりがなかった」と振り返る。
敗戦後、主将を1〜2カ月ごとの交代制にした。選手の推薦と監督の指名で交代を繰り返し、山口主将は5人目だ。3人目の主将の八百板卓丸選手(同)は「以前は自分のことばかり考えていたが、主将を経験することで周囲に目が届くようになった」と効果を語る。主将経験を積んだ選手が増えるごとに、不思議と結果が出始めたという。
再び思いが一つになったナインは今大会、躍進を続けた。“恩返し”として大優勝旗を持ち帰ることはできなかったが、最後まで諦めないひたむきなプレーと精神力は、多くの人の心をつかんだ。
八百板選手は最終回、全員が勝利を信じて応援する姿に感動していた。「ここまでチームは成長したんだ。苦しかったが、やってきて良かった」。ナインが成長を実感した、長い夏だった。
(2014年8月23日 福島民友・高校野球ニュース)
|
|
民友携帯サイト
右のコードを読み取り、表示されたURLでアクセスできます。
|
|
|
|