【田村−須賀川桐陽】７回裏田村２死二塁、右前に適時打を放つ佐藤剛＝信夫ケ丘球場

　夏の甲子園出場を懸けた第９７回全国高校野球選手権福島大会は１８日、後期日程が始まり、１６強が決まった。第６日は福島市のあづま球場など６球場で３回戦１６試合を行い、シード２校が敗退、安積黎明と尚志が初のベスト１６入り。第４シード磐城は０−５で安積黎明に完封負けを喫し、第７シード光南は１−３で二本松工に敗れた。尚志は７−４で会津農林を退けた。第１シード聖光学院は１０−０で相馬を圧倒。第２シード日大東北は１５−０の７回コールドで本宮を破った。第５シード東日大昌平は７−３で会津に、第６シード福島商は１１−５で橘にそれぞれ快勝し、シード４校が勝ち残った。田村は５−４で須賀川桐陽に９回サヨナラ勝ちした。１９日の移動日を挟み、第７日の２０日は福島市のあづま球場など４球場で４回戦計８試合を行う。

　田村・佐藤剛“４番の仕事”
　好機で打席に立った４番は初球の甘い球を見逃さなかった。７回に同点に追いついた田村。なおも２死二塁と勝ち越しの好機が続いた。佐藤剛（３年）は高めに浮いた変化球を右前にはじき返し、チームの勝利を引き寄せた。それまでの３打席とも凡打に終わっていた佐藤は「気持ちを入れ直して、思い切りよく打てた」と振り返った。
　相手は初戦でシード校の学法石川を破り勢いに乗る須賀川桐陽。序盤、田村は鈴木大誠（３年）の本塁打で先制したが、試合の主導権を握れなかった。相手の先発角田浩太郎（３年）の巧みなフィールディングの前に、けん制死や犠打失敗を重ねた。５回に逆転を許し、打線は焦りからボール球に手を出した。
　「まだ回はある。（待ち球を）しぼれ」。ベンチから声が出始めた７回、打線は冷静さを取り戻した。３連続適時打で逆転。同点に追いつかれた９回には先制本塁打の鈴木がボール球を見極め、押し出しでサヨナラ勝ちした。佐藤剛は試合後、自らに言い聞かせるように言った。「次も、今までやってきたことを一球一球に込めるだけ」。田村の歯車がかみ合ってきた。
（２０１５年７月１９日　福島民友・高校野球ニュース）