「故郷に金メダルを」 喜びを共に、実家被災の渡辺選手
「金メダルを取り、地元の人と喜びを分かち合いたい」「福島で支えてくれる人のためにメダルを届けたい」―。自転車競技男子トラック種目のロンドン五輪代表に決まった双葉町出身の渡辺一成(28)=小高工高卒=と、会津若松市出身の新田祐大(26)=白河高卒=の両選手。厚い信頼関係で結ばれた本県出身の2人が、故郷への思いを乗せてロンドンへ乗り込む。
双葉町にある渡辺選手の実家は地震の揺れで全壊。家は約20度傾いた。加えて、東京電力福島第1原発から3.5キロの自宅から両親ら家族は関東地方に避難し、散り散りの状況となっている。「なんでこんなに苦しい思いをしなければいけないんだろう」。震災直後は故郷を憂い、レースに集中できなかった。しかし、そんな状況で励ましてくれたのも地元の声援だった。「被災しながらも応援してくれている。その人たちの思いと一緒に走りたい」。渡辺選手は自分を育てた浜通りの思いを背負いロンドンに臨む。
(2012年5月2日 福島民友ニュース)
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