今井選手、古里に希望 別府大分マラソン“日本勢トップ”
大分市で2日に開かれた別府大分毎日マラソンで、日本勢最高の2位となった今井正人選手(29)=トヨタ自動車九州、原町高卒。フルマラソンでなかなか存在感を示せなかったが、トップ選手の証しとなる2時間10分の壁を初めて突き破り、進化を見せた。出身の南相馬市小高区は東日本大震災の津波で被災し、東京電力福島第1原発に伴う避難区域でもある。「地元の皆さんの応援が力の源。(2年後の)リオ五輪へ向け、もっと力を付ける」と故郷への思いを胸に決意を示した。
優勝まであと一歩。トップとは、わずか7秒差だった。レース後、今井選手は「いまは勝負に負けたという悔しさの方が強い」と胸の内を明かした。しかし、ずっと夢見てきた五輪出場へ向かう自分自身の歩みの確かさを実感したレースでもあった。「まだまだ世界で勝負できるレベルではないが、確実に前進している。五輪に出場して勝負することが競技を始めたもともとのきっかけ。前だけを見て取り組む」と誓った。
小高区下浦の実家は津波で流失した。家族や親しい友人によると、今井選手は傷ついた古里を思い、競技を続けるかどうか悩んだ時期もあったという。しかし、自分の走りで被災者が希望を持てれば、と陸上を通じて被災者と歩む道を選んだ。
(2014年2月3日 福島を走る・福島民友ニュース)
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