遠藤尚「悔いは残ってない」 貫いた全力...会心の滑りトップも

 
決勝2回目で敗退し、悔し涙を浮かべながらスーパーファイナルの戦いを見つめる遠藤=12日、平昌・フェニックススノーパーク

 フリースタイルスキー男子モーグル日本代表、遠藤尚(しょう)が集大成として臨んだ3度目の五輪は途中棄権の10位で終わり、目標としていたスーパーファイナル(決勝3回目)を見つめた。

 決勝1回目。滑りが変わった。粉吹雪を上げながら、より鋭角にターンで攻めた。会心の滑りで20人中トップスコアの82.72点。1位で2回目に駒を進めた。

 周囲のメダルへの期待が膨らみ始めた決勝2回目はさらにターンの鋭さを増した。第1エアのフルツイスト(伸身後方宙返り1回ひねり)を完璧に決めたが、ターンでバランスを崩し大きく転倒。3度目の五輪は思わぬ形で幕を閉じた。

 小学生の時、猪苗代町のスキー場で開催されたワールドカップを観戦しモーグルのとりこになった。19歳で迎えた2010年バンクーバー五輪で日本男子モーグル勢初の7位入賞し、日本モーグル界を引っ張る存在となった。14年ソチ五輪は15位と惨敗。土壇場で守りに入り、エアでミスを犯したのが敗因となった。

 3度目の五輪は「メダルを取るため」。総得点の6割を占めるターンはエッジの使い方、姿勢、審判が高得点を付ける滑りを研究し続けた。肩と腰の骨を折る大けがを乗り越えることができたのも、五輪の舞台で全力で滑るためだった。

 この日の遠藤は転倒の瞬間まで全力アタックを貫いた。決勝1回目はまさに集大成。スーパーファイナルを含め遠藤のスコアを上回ったのは金メダルを獲得したミカエル・キングズベリー(カナダ)のみ。「できることは全部やった。前回のような悔いは残ってない」。遠藤は最後の五輪で確かに輝いた。

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