聖光学院ナイン...『他喜力』胸に金字塔 ここぞの集中力を発揮

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応援席に詰め掛けた同級生らとハイタッチして喜び合う聖光学院ナイン

 福島市のあづま球場で22日に行われた第99回全国高校野球選手権福島大会決勝。聖光学院は2度追い付かれる苦しい展開でも、研ぎ澄まされた集中力で重圧をはねのけ、国内戦後最多となる11連覇の金字塔を打ち立てた。「応援してくれる人のために」。劇的なサヨナラ勝利に歓喜する応援席の姿こそが、今年の聖光学院ナインが追い求めてきたものだった。

 昨年夏の甲子園大会準々決勝で敗退後、発足した現在のチーム。「史上最低、最悪」。4度目の全国8強入りを果たした前チームと比較されたチームは、11連覇を危ぶむ、こんなレッテルを貼られて始動した。斎藤智也監督ら首脳陣からも「聖光らしくない」「隙が多い」「チームじゃない」などと、厳しい言葉が次々と飛んだ。

 チームは昨秋と今春の県大会こそ制したが、東北大会では「聖光らしい」全力プレーを欠いていた。春の東北大会で強豪・仙台育英に敗れると、主将は仁平勇汰(3年)に代わった。夏の大会まで約2カ月。残された時間が少ない中、主将交代は首脳陣の大きな決断だったが、ナインに「新しい風を起こしてほしい」との考えからだった。

 仁平主将を中心にナインは練習や私生活を見つめ直した。「自分たちには足りないものはなんなのか」。応援してくれる人を喜ばせるために野球をする「他喜力(たきりょく)」を、チームのテーマに決め、夏の大会に臨んだ。

 決勝の八回、相手主砲の同点打で、球場全体は異様な雰囲気に包まれたが、ナインに焦りはなかった。スタッフや応援席で声をからして応援するメンバー、同級生たちを「負けさせたくない」。ナインの強い気持ちが九回1死満塁の好機を生み、11年連続の甲子園出場を引き寄せた。スタンドで見届けた新井秀校長(72)は「精神力の勝利」と選手をたたえた。

 優勝の瞬間に浮かんだ指揮官の涙が「手を焼いた」世代の成長を物語る。約1年前に「史上最低、最悪」とされたチームが「聖光らしく」しぶとく1点を奪う野球で、先輩がつないだ連覇の記録をまた一つ塗り替えた。

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