聖光学院・横堀、業師の絶妙スクイズ 信頼厚く最強打線のカギ

 
【東筑-聖光学院】9回表聖光学院1死二、三塁、好機を逃さずセーフティースクイズを決め2点を呼び込んだ横堀=甲子園球場

 9回1死二、三塁。打席に立った聖光学院の横堀航平(3年)が三塁側ベンチの指示を確認すると、斎藤智也監督のサインは「セーフティースクイズ」。横堀は軽くうなずいて、バットを握り直した。

 東筑の好投手石田旭昇(あきのり)(同)の104球目、外角の少し高めに浮いた球だった。最後まで目線を切らず、寝かせたバットを合わせる基本に忠実なバント。犠打にしては、やや強い打球がコロコロと石田の脇を抜けていった。

 「しっかり帰ってきてくれ」と三走の高坂右京(同)に祈りながら一塁に頭から滑り込むと、送球も乱れ、二走も生還した。二塁まで到達し、全身泥まみれになった横堀は両手をポンと軽くたたいて静かに喜びを表した。

 50メートル6秒1の走力と巧みなバント技術を兼ね備え、斎藤智也監督も認める「業師(わざし)」だ。走者のいる場面を想定したバント練習を繰り返し、精度を磨いてきた。技術面の評価はチーム随一で「横堀がいると面白い攻撃ができる」と信頼は厚い。長打力に優れた選手が多い今年のチームの中で、日々のバント練習は欠かさない。

 強力打線のチームを救った横堀。緊張感が頂点に達した場面で、与えられた大役を正確に果たしたが「つなぐ役割を果たせてよかった」と本人は淡々と語る。次戦に向けて「気持ちで相手に勝ちたい」。巧打の男はりりしい表情のうちに闘志を燃やす。

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