「窪木、渡辺の活躍を」 自転車・リオ代表決定、両親「おめでとう」

 
五輪出場の夢をかなえた窪木選手の写真を手に快挙をたたえる茂さん(中央)とキミ子さん(右)。左は祖父富雄さん

 自転車競技トラック種目のリオデジャネイロ五輪代表が発表された6日、男子ケイリンの渡辺一成(32)=日本競輪選手会、小高工高卒=と、同オムニアムの窪木一茂(26)=NIPPOヴィーニファンティーニ、学法石川高卒=の両選手は、古里への恩返しを誓った。「復興のために全身全霊を込めて競技する」「県民を元気づけたい」。2人は「自転車王国・福島」のプライドを胸に、全力でペダルを踏み込む。

 「実感は湧かないが、結果を残して期待に応えたい」。4日に代表入りを告げられたという窪木選手の言葉には、驚きと喜びが入り交じった。五輪を目指したきっかけは本県出身の選手が活躍する姿だった。「日本代表のジャージーが純粋に格好良かった」。2012(平成24)年に渡辺選手らがロンドン五輪代表に選ばれると、その新聞記事を何度も読み返し、一流選手になるイメージを膨らませた。

 日大を卒業後、競技に集中できる環境を求めて今年1月からイタリアに拠点を移し、技術を磨いている。「次は自分の活躍が県民の皆さんに伝わるよう頑張りたい」と意気込む。

 渡辺選手は「集大成のレースをしたい」と冷静に抱負を語った。震災で双葉町の実家は全壊。原発事故の影響で両親らが関東地方に避難した。その中で、いつも変わらない古里の温かい声援が励みになっているという。「メダルを取ることが最大の恩返しになる」と頼もしく言い切った。

 窪木、渡辺両選手の五輪代表選手決定の知らせを受け、古里や母校では、家族や関係者から喜びや期待の声が上がった。

 古殿町の窪木選手の実家では、父茂さん(63)が「ほっとした。高校時代から休みなく練習に明け暮れてきた。夢がかなって良かった」と笑顔を見せた。母キミ子さん(60)は「頑張ったね。おめでとう」と伝えたという。

 「本人の努力。体調を整え頑張って」とエールを送るのは学法石川高自転車競技部時代に監督を務めた鎌田弘史さん(68)=石川町。古殿町の岡部光徳町長は「町民とともに活躍を祈ります」とコメントした。

 「一生懸命に努力していたので、ほっとした」。渡辺選手の父で、神奈川県大和市の市営住宅で避難生活を送る善行さん(66)は胸をなで下ろした。ロンドン五輪では「被災地の代表」として「プレッシャーがあったかもしれない」とし、「今回は気楽に臨んでほしい」と、息子を気遣いながらエールを送った。

 双葉町の伊沢史朗町長は「渡辺選手からは町民が希望と勇気をもらっている。日本、本県、双葉町のためにも頑張ってほしい」と激励した。両選手を指導した自転車シドニー、アテネ五輪監督・コーチの班目秀雄さん(72)=白河市=は「努力の結果。おめでとうと伝えたい」と教え子の選出を喜んだ。

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