窪木一茂...「世界」経験 自転車オムニアム、東京へ『新たな夢』

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日の丸を手に会場で声援を送る父茂さん(右から3人目)ら窪木の家族

 「五輪が終わってしまい、心にぽかんと穴があいた」。自転車男子オムニアムの窪木一茂(27)=NIPPOヴィーニ・ファンティーニ、学法石川高卒=は2日間計6種目の過酷なレースを戦い抜いたが、総合14位の結果に複雑な心境を打ち明けた。

 相手は世界選手権などとほぼ変わらなかったが、「トップ選手が本気で状態を仕上げると普段とこんなに違うのかと感じた」。初の五輪で待ち受けていたのは厳しい現実だった。

 初日の3種目終了時点で11位。最終日での巻き返しを狙ったが、タイムトライアル15位、フライングラップ16位と、スピードで上回る欧州勢などにリードを広げられた。「捨て身で挑んだが、序盤からペースが速かった」。勝負どころと位置付けた最終のポイントレースで体が限界を超えた。100周すぎで右太ももがけいれん。上位陣の激しいアップダウンにも翻弄(ほんろう)され、わずか1点の獲得にとどまった。

 古殿町出身の窪木。山あいの環境で競技の基礎を築いた。大学時代は各国を転戦する中で、自転車用具に恵まれない貧しい選手が試合で勝ち抜く姿を目の当たりにした。以降、「ハングリー精神」をモットーに泥くさいレースを心掛けるようになった。今年1月からはロードレースのプロチームに加入するためイタリアへ。密集で走る技術や多少の接触もいとわない力強さを磨いてきた。

 それでも、培った技術やスピードは世界の壁にはね返された。「東京五輪には絶対に出たい。僕しか見てない光景を仲間に伝え、日本チームを強くしたい」。リオで味わった悔しさを無駄にはしない。

 家族が現地でエール

 会場には古殿町から父茂さん(63)、母キミ子さん(61)、姉奈美さん(31)、親戚の鈴木明美さん(57)が駆け付け、日の丸を手に声援を送った。

 現地に足を運べなかった町民のパワーも届けようと、応援メッセージの書き込まれた日章旗がスタンドに掲げられた。茂さんは「世界の18人しか出られない舞台。力を出し切ってほしい」とレースを見守った。