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 【 ふくしまの舞台TOP
ふくしまの舞台
須賀川宿と乙字ケ滝
(須賀川市)
8日間滞在、名句詠む

芭蕉ゆかりの品々が並ぶ須賀川市芭蕉記念館

 「月日は百代の過客にして、行かふ年も又旅人也―」。漂白の思いやまず、「おくのほそ道」の旅に出た松尾芭蕉と弟子河合曽良が須賀川宿(現須賀川市)を訪れたのは1689(元禄2)年の6月9日(旧暦4月22日)。芭蕉らは親交のあった同地の俳人相楽等躬(とうきゅう)宅に8日間滞在し、須賀川の名所や風土を眺めながら旧交を温めている。
 当時、奥州街道屈指の宿場町として、経済的、文化的に繁栄していた須賀川宿。芭蕉はおくのほそ道で、街のにぎわいではなく世人から離れて暮らす一人の隠者の姿を特筆している。
 須賀川に滞在中、3度句会を開いた芭蕉は句会などを通じ、等躬宅近くに住む隠者可伸の紹介を受ける。芭蕉はよほどこの人物が気に入ったのか、2日続けていおりを訪れ、深い共感を句に残している。「世の人の見付ぬ花や軒の栗」。
 武士の身分を捨て、自らを「乞食の翁」と呼び江戸深川に隠せいした芭蕉にとって、おくのほそ道は深い無常観を覚えた旅でもあった。須賀川市芭蕉記念館の高久田稔施設長は「世を捨てて一人生きる可伸に、強いシンパシーを感じたのでは」と推測する。
 8日間の後、芭蕉らは須賀川を出発し、守山(現郡山市)へと向かう。途中、石河の滝(乙字ケ滝)に立ち寄った芭蕉は、豪快な眺めに感嘆の思いを詠んだ。「5月雨の滝降りうづむ水かさ哉」。およそ300年を経た今も変わらず、豊かな水が流れ落ちる滝のそばには、芭蕉の句碑がひっそりとたたずんでいる。
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 須賀川市芭蕉記念館 須賀川市役所の敷地内に立ち、芭蕉に関係する掛け軸や年表、資料、句碑拓本などを展示している。「芭蕉の間」や「等躬の間」は、句会や文芸活動などに利用されている。茶室や庭園も備える。
 ▽問い合わせ=須賀川市芭蕉記念館(電話0248・72・1212)
【 45 】 2009年2月26日 福島民友新聞社・木曜ナビ ほっと面掲載
( 文・大内雄 写真・吉田義広 )  
 

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