minyu-net

ホーム 県内ニュース スポーツ 連載 社説 イベント 観光 グルメ 健康・医療 購読申込  
 
    【 福島遺産 百選TOP 】
福島遺産百選
松川浦(相馬市)
【 1 】
試験栽培が続く海苔の養殖

海苔棚も消えて…

海苔棚も消えて… 

【震災後】津波被害を受けた大洲海岸。クロマツがまばらに立っている(写真奥)。海苔養殖は試験的に行われているだけで以前のような海苔棚を見ることはできない

 相馬市を流れる宇多川の河口に開けた周囲28キロの潟湖(せきこ)。海水と淡水が混じり合った汽水域と、潟湖という特有の環境が、さまざまな動植物が生息する多様性を育み、そこに暮らす人々は多くの恵みを享受してきた。
 干潮時には約7割が干潟となる特徴を生かし、江戸初期には塩田として、末期には現在まで続く海苔(のり)の養殖場として、多くの生活を支えてきた。干潮時、浦一面に海苔棚の幾何学模様が現れる様子は冬の風物詩だった。しかし、福島第1原発事故の海水汚染で本格的な養殖ができず、今年も試験栽培が続いている。
 浦には文字島、沖ケ島など大小の島が点在し、太平洋と浦を仕切る大洲海岸にはクロマツが繁り、日本百景に選ばれるほどの名勝地だった。が、昨年の津波で大洲海岸は寸断され、環境が激変。震災前の環境に近づける取り組みが進められている。
 (相馬市観光協会(電)0244・35・3300)


 100年後も心のよりどころとなるように
 新妻 香織(にいつま・かおり)さん/松川浦の環境保全に取り組む
 35歳でふる里に戻ってきた時、松川浦の自然の豊かさを感じました。大学進学で上京し、卒業後は旅行雑誌の編集をしていました。今から思えば当時は、松川浦の素晴らしさを過小評価していました。Uターンしてからは、この松川浦を後世に守り伝えていこうと、保全活動に携わっています。
 松川浦は万葉集にも詠まれ、古くから人との関わりがありました。豊かな自然環境は人間に例えるなら胎内のようなもの。そこには生物多様性が育まれ、一昨年、環境省のラムサール条約湿地潜在候補地に選ばれたほどです。しかし、東日本大震災の津波で環境が一変しました。
 一度、姿を消した生き物も徐々に戻り始めていますが、潟湖は微妙な自然の上に成り立っているため、震災前の状態に戻すことは容易ではありません。私たちが、今しなければならないことは、多くの人の知恵を集め、100年後、ここに暮らす人々が、心のよりどころとし、誇りとしていける松川浦にしていくことではないでしょうか。

海苔棚整然と

海苔棚整然と

【震災前】海苔養殖が本格化する冬を迎えると、浦一面に海苔棚の幾何学模様が現れた

ふくしま復興支援
 福島民友新聞社は、ふくしま復興支援プロジェクトの一環として、2012(平成24)年10月から13年5月まで、「ふる里の誇り ふたたび 福島遺産 百選 未来への歩み」を連載しました。
 「福島遺産 百選」は、県内それぞれの地域で「ふる里の誇り」として守り継がれてきた有形無形の宝を後世に残していこうと、福島民友新聞社が07年に県内外に呼びかけ、選定しました。
 しかし、計120件のうち31件の遺産が東日本大震災で被災しました。本プロジェクトは、あらためて地域の素晴らしい宝を再認識することで県民一人一人の誇りを取り戻し、「心の復興」につなげていくことを目的としたものです。

2012年10月2日付・福島民友新聞掲載
 
ふくしまが誇る美しい自然、歴史、文化
地域の宝を復興の力に
震災に耐えて
 東日本大震災に耐え、被害を免れた福島遺産もあります。これらは地域で県民に勇気と希望を与え続けています。

阿津賀志山防塁(国見町)

阿津賀志山防塁(国見町)

 1189(文治5)年の「奥州合戦」で、源頼朝の鎌倉軍を迎え撃つために奥州平泉の藤原泰衡軍が築いた防御陣地。阿津賀志山の中腹から阿武隈川までの約3.2キロにわたり築かれた。合戦最大の激闘を裏付ける貴重な遺構。(国見町教育委員会生涯学習課(電)024・585・2676)


半田山(桑折町)

半田山(桑折町)

 標高863メートル。平安時代に銀が発見され、明治期まで日本三大銀山の一つと称されていた。中腹は半田山自然公園として整備されており、四季折々の風景を楽しみに毎年約3万人が訪れる。(桑折町産業振興課(電)024・582・2126、半田山管理センター(電)024・582・4590)


鹿狼山と新地貝塚(新地町)

鹿狼山と新地貝塚(新地町)

 標高430メートル。太平洋と初日の出を望むことができる新地町のシンボル。新地貝塚は縄文時代後期から晩期の国指定史跡。出土品は国内最初の報告となった鹿角製ヤスなどがある。(鹿狼山=新地町観光協会(電)0244・62・2112、新地貝塚=新地町教育委員会(電)0244・62・4477)

福島民友新聞 購読ご案内

ご購読のお申込

 民友携帯サイト
   NEWSmart

右のコードを読み取り、表示されたURLでアクセスできます。

QRコード
  minyu-netメニュー | ホーム | 県内ニュース | スポーツ | 連載 | 社説 | イベント | 観光 | グルメ | 健康・医療 | 購読申込 |
 

福島民友新聞社
〒960-8648 福島県福島市柳町4の29

個人情報の取り扱いについてリンクの設定について著作権について

国内外のニュースは共同通信社の配信を受けています。

このサイトに記載された記事及び画像の無断転載を禁じます。copyright(c) THE FUKUSHIMA MINYU SHIMBUN