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福島遺産百選
大尽屋敷跡(葛尾村)
【 3 】
村史に不可欠な豪商の邸宅跡

荒れていく公園

荒れていく公園

【震災後】全村避難が続き、放置されたままの公園。本宅跡の礎石は、雑草に覆い尽くされてしまった。地震の影響で石垣の一部が崩れたが、修復は進んでいない

 山懐に抱かれた古い街道沿い。江戸から明治にかけて栄えた松本家の邸宅跡は村史を語るときに欠かせない場所だ。
 一族の祖は信州から移り住んだと伝えられ、「葛尾」の地名は故郷の信州葛尾城をしのんで付けたとされる。武士から商人になった松本氏は、製鉄や酒造、養蚕など、幅広い商いで富を築き、「葛尾大尽」と呼ばれた。商圏は江戸や京阪地域にまで及んだ。
 火災で建物は失われているが、約2.5ヘクタールの敷地には、築城用石を使った石垣、近江八景を模した池、本宅の礎石などが今も残り、往時をしのばせる。2007(平成19)年に公園として整備され、史跡の保存や観光交流に役立っていた。
 東日本大震災では、石垣の一部が崩れる被害を受けた。原発事故の影響で全村避難が続いており、修復の見通しは立っていない。倒木や雑草の繁茂による荒廃も進んでいる。
 (葛尾村公民館(電)0247・61・2860)


 「ぜひお越しください」が言える日まで
 白岩 寿喜(しらいわ・ひさよし)さん
 /かつらお大尽屋敷跡公園のガイドを務めていた

 大尽屋敷にまつわる言い伝えは、ほとんどの村民が知っています。震災は、村の子どもたちに受け継ぐためのプロジェクトを始めた矢先だっただけに、とても残念です。
 公園で崩れた石垣を見たときは寂しい限りでした。しかも、地震による被害だけであれば修復できたのに、全村避難が続いている現状では、それもかないません。石垣が落ち、雑草が伸びきったままの公園を見るたびに、悔しい気持ちでいっぱいになります。
 再生に向けてまず必要なのは村の除染です。村の人々が元の生活を取り戻したその上で、屋敷跡を訪れる人たちをもてなすことができたら、悠久の時に思いをはせ、ゆったり時間を過ごすというこの公園の目的も果たせるのではないでしょうか。
 「ぜひお越しください」と言えないのがつらいですが、除染が終わったら、震災前以上に素晴らしい公園にして、みんなが集まる憩いの場所にしたいと考えています。今は、その日が来るのを願うばかりです。

往時をしのぶ礎石

往時をしのぶ礎石

【震災前】往時をしのぶ本宅跡の礎石。史跡公園として整備され、地域の人々が大切に守ってきた

ふくしま復興支援
 福島民友新聞社は、ふくしま復興支援プロジェクトの一環として、2012(平成24)年10月から13年5月まで、「ふる里の誇り ふたたび 福島遺産 百選 未来への歩み」を連載しました。
 「福島遺産 百選」は、県内それぞれの地域で「ふる里の誇り」として守り継がれてきた有形無形の宝を後世に残していこうと、福島民友新聞社が07年に県内外に呼びかけ、選定しました。
 しかし、計120件のうち31件の遺産が東日本大震災で被災しました。本プロジェクトは、あらためて地域の素晴らしい宝を再認識することで県民一人一人の誇りを取り戻し、「心の復興」につなげていくことを目的としたものです。

2012年10月16日付・福島民友新聞掲載
 
ふくしまが誇る美しい自然、歴史、文化
地域の宝を復興の力に
震災に耐えて
 東日本大震災に耐え、被害を免れた福島遺産もあります。これらは地域で県民に勇気と希望を与え続けています。

霊山(伊達市)

霊山(伊達市)

 火山活動から生まれた玄武岩でできた奇岩怪石がそそり立ち、新緑や紅葉などの眺望が素晴らしい。南北朝時代の争乱の舞台でもあり、寺院や城の礎石が隆盛の跡を残す。現在は国史跡、県立自然公園に指定されている。(伊達市役所霊山総合支所業務担当(電)024・586・3404)


宮畑遺跡(福島市)

宮畑遺跡(福島市)

 4500〜2500年前の縄文時代の集落跡。この間、特徴が異なるむらが形成された。南東北を代表する遺跡として2003(平成15)年に文部科学省から史跡に指定された。遺跡には「多くの焼けた家」と「巨大な柱」の二つの謎が残されている。(福島市教育委員会文化課(電)024・525・3785)


信夫山と暁まいり(福島市)

信夫山と暁まいり(福島市)

 福島市の市街地の中央にある、標高275メートルの里山。信夫三山暁まいりは長さ12メートル、幅1.4メートル、重さ2トンにおよぶ「日本一の大わらじ」を約100人で担ぎ上げ、羽黒神社に奉納する祭礼。信夫山と市民を結ぶ伝統行事として親しまれている。(福島市観光案内所(電)024・531・6428)

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