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福島遺産百選
大堀相馬焼(浪江町)
【 4 】
避難先の二本松に仮設工房オープン

伝統の火絶やさず

伝統の火絶やさず

【震災後】二本松市内に設けた工房の窯場。窯には連日のように火が入る。焼き上がった陶器からは、青ひびが入るときに出る貫入音が「ピーン、ピーン」と鳴り響く

 青ひびに、走り駒の絵が特徴の国の伝統的工芸品「大堀相馬焼」は、浪江町大堀地区で作られる陶器だ。1690年に大堀村の相馬藩士・半谷仁左衛門休閑の使用人左馬が、中村城下で陶器作りを学び、大堀に戻って技法を伝えたのが始まりとされる。相馬藩の支援もあり、江戸末期には100戸以上の窯元が並ぶ一大窯業地域となった。
 現在の窯元は約30戸。大堀相馬焼協同組合が中心となり、窯元ごとの個性ある新しい製品の開発や、地域づくりとの一体化など、伝統の継承を図っている。
 東京電力福島第1原発事故で、地区一帯は警戒区域となり、窯元は県内外に避難した。伝統の火を絶やすまいと、同組合は今年7月、浪江町が役場機能を移転している二本松市の、国道4号沿い「道の駅安達」近く小沢工業団地に、制作・販売拠点「陶芸の杜おおぼり二本松工房」をオープンさせた。
 (大堀相馬焼協同組合(電)0243・24・8812)


 恩義に報い、ふるさとでの再開の日を思う
 半谷 秀辰(はんがい・ひでとき)さん
 /伝統の継承に努める大堀相馬焼協同組合理事長

 原発事故による避難で、窯元たちは散り散りになってしまいました。伝統を守るには制作拠点が必要だと考え、昨年の夏から各方面に働きかけ、今年7月、二本松市に工房を開設することができました。
 大堀相馬焼の特徴の「青ひび」を生む上薬は、浪江で採れる石を使っていましたが、放射性物質の拡散で入手が困難となりました。そこで県ハイテクプラザにお願いし、似た性質の石を調合し、代替材料を開発してもらいました。焼き上がりも問題なく、胸をなで下ろしました。
 工房のプレオープンの日は本当に大勢の人が来てくれました。浪江町民の姿も多く、大堀相馬焼が町民の心の支えになっていることをあらためて感じ、また、二本松の方をはじめたくさんの人に支えられているという実感に涙する思いでした。
 大堀に戻り、焼き物を再開することが最大の望みですが、それまでの間に、この地で大せとまつりを1回でも2回でも開いて、にぎわいをつくり、恩返しをしたいと思います。

伝統の趣を求めて

伝統の趣を求めて

【震災前】地元大堀で毎年5月に開かれていた大せとまつりは、大勢の人でにぎわっていた

ふくしま復興支援
 福島民友新聞社は、ふくしま復興支援プロジェクトの一環として、2012(平成24)年10月から13年5月まで、「ふる里の誇り ふたたび 福島遺産 百選 未来への歩み」を連載しました。
 「福島遺産 百選」は、県内それぞれの地域で「ふる里の誇り」として守り継がれてきた有形無形の宝を後世に残していこうと、福島民友新聞社が07年に県内外に呼びかけ、選定しました。
 しかし、計120件のうち31件の遺産が東日本大震災で被災しました。本プロジェクトは、あらためて地域の素晴らしい宝を再認識することで県民一人一人の誇りを取り戻し、「心の復興」につなげていくことを目的としたものです。

2012年10月23日付・福島民友新聞掲載
 
ふくしまが誇る美しい自然、歴史、文化
地域の宝を復興の力に
震災に耐えて
 東日本大震災に耐え、被害を免れた福島遺産もあります。これらは地域で県民に勇気と希望を与え続けています。

信夫文知摺(福島市)

信夫文知摺

 松尾芭蕉や正岡子規など、多くの歌人、俳人が訪れた「歌枕の地」。木立に囲まれた境内には歌碑や句碑のほか、文知摺石や県指定重要文化財の多宝塔など、数多くの史跡が残る。多宝塔の遺構は関東以北では少なく、東北では唯一という。(安洞院(電)024・534・0939)


吾妻連峰(福島市ほか)

 最高峰の西吾妻山をはじめ、標高2000メートル級の十数座の山々が山形県との境に連なる。山間には五色沼や鎌沼、桶沼など、大型の火山湖があり、神秘の光をたたえている。(浄土平ビジターセンター=冬季休館=(電)024・543・0986、吾妻浄土平自然情報センター(電)024・591・3600)


熱塩加納のひめさゆり群生地
(喜多方市)

 ヒメサユリは本県の準絶滅危惧種に指定されている貴重な植物。喜多方市熱塩加納町宮川地区に位置する約3ヘクタールの群生地には約30万本が自生しており、薄紅色の美しい花々が訪れた人々の目を楽しませている。(喜多方市役所熱塩加納総合支所産業課(電)0241・36・2115)

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